グエン・フー・チョン氏

 【ハノイ=共同】ベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長が19日、ハノイ市内の病院で死去した。80歳だった。国営メディアが報じた。詳しい死因は明らかにせず「高齢と重病」と伝えた。2011年の就任後、高官の汚職摘発を積極的に進めて党の求心力向上に努め、21年1月に党規約の上限を超える3選を果たしていた。  党は今月18日、党内序列2位のトー・ラム国家主席が事実上の代行を務めると発表した。ただ国政運営への影響は大きく、後継者選定や日本や米国との外交への影響が注目される。  共産党一党支配のベトナムは、党トップの書記長を中心に国家機構トップの国家主席、政府を束ねる首相、国会議長を交えた集団指導体制が慣例。ただ近年はチョン氏が強力に腐敗追及を推進したことで権力集中が進んだとも言われる。  1944年4月、ハノイ生まれ。ハノイ総合大(現ハノイ国家大)卒。67年にベトナム労働党(現ベトナム共産党)に入党し、理論誌「タプチ・コンサン」編集長など、思想・理論畑での経歴が長い。94年党中央委員。97年党政治局員。2006年国会議長。11年の党書記長就任後、16年に2期目入りした。穏健な保守派として知られ、南シナ海で領有権問題を抱える中国と安定した関係の維持に努める一方、米国との防衛・経済協力も推進。15年には最高指導者として、ベトナム戦争後初めて米国を訪問し、23年9月にはバイデン米大統領をハノイに迎えた。


鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。