93歳の大道芸人ギリヤーク尼ケ崎さん=東京都世田谷区=が16日、能登半島地震による大規模火災で大部分が焼失した石川県輪島市の朝市通り近くで、創作舞踊の代表作を踊り、犠牲者を追悼した。

追悼の創作舞踊を披露するギリヤーク尼ケ崎さん=石川県輪島市河井町で

 車いすで姿を見せ、焼け跡の前で創作舞踊2作をささげた。亡くなった母らを思い、津軽三味線の音に合わせて一心不乱に踊る「念仏じょんがら」では、時折車いすから立ち上がって大きな数珠を振り回したり、地面にあおむけに倒れ込みながら両手を合わせたりしてパフォーマンスを披露。力を振り絞って鎮魂の祈りを表現した。  北海道函館市出身で映画俳優を目指して上京後、1968年に大道芸人として街頭公演デビュー。国内外で公演を重ね、95年の阪神大震災では発生1カ月後の被災地で踊った。その後20年にわたって毎年、地震が起きた1月17日に「祈りの踊り」をささげ、東日本大震災の被災地でも踊りを披露してきた。

追悼の創作舞踊を披露するギリヤーク尼ケ崎さん=石川県輪島市河井町で

 近年はパーキンソン病や脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)を患い、心臓にペースメーカーを付けて病気と闘いながら公演を続けている。能登半島地震後も被災地を気にかけていたが、高齢による体調不安もあり、この日に地震後初めて被災地を訪れた。  輪島には衣装の一部を買いに訪れたことがあるという。「いつ倒れるかわからない状態で、うまく踊れないかと思っていたが、今の気持ちを表現できた」と話し、そっと花を手向けた。(脇阪憲) 

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