マイナ保険証の6月の利用率は9.9%となり、5月(7.73%)から2.17ポイント伸びた。 政府は利用者が増えた病院や薬局への支援金を倍増するなどして利用拡大に躍起となっているが、いまだに9割以上が現行の保険証を利用している。 厚生労働省によると、6月のマイナ保険証の利用件数は1873万件。5月に比べて448万件増えた。増加幅は、薬局が最も多く194万件、次いで医科診療所が158万件だった。 医療機関に対する国の聞き取り調査では、「マイナ保険証の利用を促す積極的な声掛けや、カードリーダーにおける読み込み時の患者と職員の二人三脚の対応姿勢が利用促進の要因」と前向きな声がある一方で、「医師、事務職員にどんなメリットがあるのか理解できていないため、窓口での声掛けが進まない」「患者側の理解が乏しく、窓口で声かけをしても効果が上がらない」という意見もあった。 開業医らでつくる「全国保険医団体連合会」の本並(もとなみ)省吾事務局次長は6月の利用率について「保険証廃止まで残り5カ月で1割に届いていない現状。無理矢理底上げしているという印象だ」と話す。 政府の利用促進の集中取り組み月間が始まった5月以降、東京新聞には、病院や薬局での声かけに対する戸惑いや不満の声が寄せられている。 ある70代女性は「あの手この手で税金も使い、なりふり構わず、マイナ保険証を推し進める政府のやり方に、憤りと情けなさを感じる国民は多い」と断じた。(戎野文菜)

政府のマイナ保険証の普及策 厚労省は2023年度補正予算に217億円を計上。5月からは集中取り組み月間として、マイナ保険証の利用者の増加人数に応じて病院や薬局に支援金を支出。利用を増やそうと、6月には支援金の上限を40万円に倍増した。支援金をもらうには、窓口での声かけやチラシの配布、ポスター掲示が条件。政府は12月2日で現行の保険証の新規発行を停止する方針だが、マイナ保険証の利用は低迷している。

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