保護者が交通事故で死亡したり重い障害を負ったりしたため経済的に就学が困難になった子どものうち、家庭で家族の世話などをする「ヤングケアラー」が2割近くに上るとする調査結果を、交通遺児育英会(東京)がまとめた。同会は「できる範囲での支援策を早急に考えていく」としている。(三宅千智)

◆外出付き添い、感情面のサポートも

 調査は今回が初めて。今年3月、同会の奨学金を利用する高校生、大学生ら830人にインターネットで実施し、366人が回答した。  過去を含め、ヤングケアラーとして家族の世話をしていると答えたのは15.8%。高校生では16.7%、大学・短大生以上は15.9%だった。  世話の対象は「父親」36.2%、「母親」29.3%、「祖父母」10.3%。内容は外出の付き添いや家事、感情面のサポートなど。頻度は「ほぼ毎日」が高校生で64.7%、大学・短大生以上で24.4%だった。

◆高い割合…障がいある両親の世話など影響か

 周囲への相談の経験は、高校生の82.3%が「ない」と回答。理由は「家族のことのため話しにくい」「相談しても状況が変わると思わない」など。自身の健康状態について高校生の17.6%が「あまりよくない」と答えた。  2020年度の国の調査では、高校生のヤングケアラーの割合は4.1%。単純比較はできないが、今回の結果はその4倍近くに達する。育英会の担当者は「ワンオペの母親や、障がいがある両親の世話をしているケースが多く見られることが影響していると思われる」としている。

 交通遺児育英会 1969年設立。個人や企業などからの寄付で運営する公益財団法人。高校、大学などへの進学を支援するための奨学金の無利子貸与(一部給付)のほか、海外語学研修や学生寮の運営も担う。



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