松山市の道後温泉本館が11日、保存修理工事をほぼ終え、5年半ぶりに全館で営業を再開した。さっそく訪れた入浴客らはお湯を楽しんだあと、浴衣に着替えて休憩室でくつろぐなどしていた。
- 道後温泉をブレンドする「バリスタ」公務員 お客様のために守るもの
午前6時、「道後温泉」の扁額(へんがく)のかかった玄関の門が開き、列を作っていた入浴客が入館していった。最前列にいたのは、松山市に住む大学3年の森下宥梨(ゆり)さん(20)と野瀬琴音さん(20)。前日午後10時から「一番風呂を狙って来ました」と笑顔を見せた。
湯上がりだった千葉県習志野市の看護師、山城晴香さん(36)は「建物に趣があってすばらしい。お湯に癒やされました」と満足げだった。
営業再開にあわせ、開放していなかった3階の2部屋を新たに貸し切り休憩室とした。窓からは、本館屋上にあるやぐら「振鷺閣」に備え付けられたシンボルの白鷺(しらさぎ)の造形物が見える。入浴券のデザインも新しくなった。
また、これまで「神の湯」の男子浴室は二つあり、それぞれに夏目漱石の小説「坊っちゃん」に登場する「湯の中で泳ぐべからず」の注意書きにちなんだ「坊っちゃん泳ぐべからず」の木札があった。今回の工事で浴室の構成が変わり、男子浴室の一つが女子浴室になったため、木札を女子浴室でも見られるようになった。
2019年1月からの工事期間中にはコロナ禍に見舞われ、地元経済は大きな打撃を受けた。松山市道後温泉事務所の杉村幸紀所長(57)は「道後のみなさんと一緒に今日を迎えられたことを喜びたい。これから新しい歴史を作っていきたい」と話した。
料金(大人)は「神の湯階下」700円、「神の湯二階席」1300円、「霊の湯二階席」2千円、「霊の湯三階個室」が2500円などとなっている。市は物価高騰などに対応するため、全館営業再開に合わせて料金を約1.5倍に値上げした。(神谷毅)
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