東日本大震災復興構想会議議長や防衛大学校長を務め、3月に80歳で亡くなった五百旗頭真・神戸大学名誉教授を「送る会」が11日に東京都内のホテルであった。自民党政権や民主党政権の元首相や研究者ら約500人が参列し、快活で実直な人柄をしのんだ。

 政治学者の五百旗頭氏は、戦後日本の政治外交史研究や災害復興への提言に努めた。北岡伸一・東京大学名誉教授は弔辞で、「明るくておおらかな人柄で多くの研究者を引きつけた。穏健な現実主義者の兄貴分だった。五百旗頭さんが進めようとした、国内では自由闊達(かったつ)に議論する社会、国外では国際協調路線を進めることが、残された者の責任ではないか」と語った。

 遺族を代表して、長男で同大教授の薫氏が「父の研究分野は、日本が絶望的な戦争に突入、敗北し、復興する時代の外交史。失敗しても再生のばねが力強く働くというのが父の日本観であり、自画像でもあった」とあいさつ。「難しい時代ほど良識やバランス感覚が大切で、失われやすい。それらを支えるのは人類への楽観、文明への敬意、そしてユーモアかもしれない。父にはふんだんにあった。笑顔をまぶたに浮かべ、これからの時代を生きていこうと思う」とも語った。(編集委員・藤田直央)

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