泳いでいるはずなのに前に進めない――。そんなパニックを引き起こす要因となるのが「離岸流」だ。海水浴シーズンに向けて第9管区海上保安本部などが注意を呼びかけている。

 離岸流は海岸から沖に向かう海水の流れのことで、岸に打ち寄せた波が沖に戻るときなどに生じる。9管によると、昨年は県内で遊泳中に水難事故に遭った25人のうち、10人が離岸流に巻き込まれた可能性があるという。

 9管と新潟海上保安部、長岡技術科学大などは2日、新潟市中央区の日和山浜海水浴場で離岸流の調査を実施。緑色の着色剤を海面に流し、ドローンで上空から空撮したところ、幅約10メートルの帯のような形になって60メートルほど沖に流されていることが目視できた。

海面に流した着色剤で確認できた離岸流=2024年7月2日午前、新潟市中央区の日和山浜海水浴場、長岡技術科学大学提供

このとき確認された離岸流の速さは秒速約0.2メートル。海上保安庁海洋情報部によると、秒速2メートルに達することもあり、これはオリンピックの自由形金メダリストが泳ぐ速さとほぼ同じだという。

 新潟海上保安部交通課の松野寿郎・安全対策係長は「泳ぎに自信がある人でも離岸流に巻き込まれると流れに逆らうのは難しい」と指摘する。

では、離岸流に遭ったらどうすればいいのか。松野さんは「離岸流の範囲は限られているので、まずは慌てないこと。泳ぐなら岸と平行に。流れから抜け出したら岸に向かって」とアドバイスしている。(山崎靖)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。