ロシアに向けて軍事転用の恐れのある水上バイクなどを不正に輸出したとして、大阪府警は10日、貿易会社「アストレード」(大阪市中央区)の代表取締役でロシア国籍のソワ・アンドレイ容疑者(38)を外為法違反(無承認輸出)の疑いで逮捕した。ウクライナ侵略後のロシアへの不正輸出を巡る逮捕は全国で初めてという。
2022年2月のウクライナ侵略後、政府は貿易規制によるロシアへの制裁措置を強化。軍事転用の懸念がある製品やぜいたく品などの輸出入を幅広く規制した。ただロシアへの輸出を隠し第三国を経由した「制裁逃れ」はたびたび指摘されてきた。
府警によると、容疑者は「弁護士と相談してから話す」と供述しているという。
逮捕容疑は23年1月、経済産業相の承認を得ずに、取引の規制対象に指定される水上バイクや船舶エンジン、中古バイクなど計約4300万円相当を韓国経由でロシアに輸出した疑い。
捜査関係者によると、アストレード社はロシア向けの輸出規制が強化された後の22年7月ごろから韓国向けの輸出を始めたという。府警はロシア側の顧客との取引を隠す狙いがあったとみて調べる。
ホームページによると、アストレード社は10年に設立。食品や日用品、中古車などの日本製品を取り扱い、ロシア、カザフスタン、ベラルーシへの直接販売を手がけているとされる。
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