2023年度に過去最多の人身被害を出したクマの市街地出没対策に関し、環境省の専門家検討会は8日、鳥獣保護管理法を改正し、市街地での銃猟が可能となる要件を条件付きで緩和する対応方針をまとめた。環境省は次期国会で早期の改正を目指す。

現在は住宅密集地などでの銃猟は原則禁止で、ハンターらが市街地で銃猟できるのは、警察官職務執行法に基づき警察官が命じた場合などに限られていた。

5月23日の会合で示した対応方針案を正式に決定。検討会は、現状では警察官が現場にいない場合などには警職法で対応できないことが懸念されると指摘し「応急的な対応でなく、法改正が望ましい」と結論づけた。

法改正により、①住宅街で大型獣による人身被害の恐れが生じている場合②建物内にクマが入り込んだ場合③住宅街で箱わなを使ってクマを捕獲した場合――に銃による殺処分を可能にする。

改正案を作る際の留意点として、銃を向けた先に人がいないなど発砲可能な条件を整理し、自治体や警察が対応マニュアルを作成した上で訓練を行う体制づくりの必要性を確認。自治体などの要請で銃猟を行ったにもかかわらず事故が起きた際は、捕獲者に不利益が生じないよう責任の所在を明確にするという。

環境省によると、23年度のクマの人身被害は、把握できる06年度以降で最多の198件、219人だった。住宅街などで餌を探す「アーバンベア」も多数出現し、23年は流行語にも選ばれた。

被害が深刻だった岩手県の達増拓也知事らから市街地での銃猟に関し、規制緩和を求める声が上がっていた。〔共同〕

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