「平和的な集会や抗議行動を行うことは、表現の自由や平和的集会の自由として、私たち市民一人ひとりが持つ権利だ」

 6月28日配信の記事「辺野古めぐる抗議現場でダンプにはねられ警備員死亡 抗議者も搬送」に、琉球大学客員研究員の阿部藹(あい)さんは、こうコメントした。

 人口密集地にある沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場は、長年にわたり危険性が指摘され、政府は沖縄本島北部に位置する名護市辺野古の沿岸部への移設計画を進めてきた。記事では、抗議活動が行われていた土砂の搬出現場で、抗議活動中の女性と警備員が大型ダンプカーにひかれ、警備員が死亡、女性が足を骨折するなどの重傷を負ったことを伝えた。

 阿部さんはコメントで、「公道において抗議活動を行うことを批判するような論調もある」としつつ、国連が2016年に発行した「集会の適切な管理に関する共同報告書」によれば「平和的な集会を行うことは、車両や歩行者の移動と同等の道路などの公共空間の正当な使用目的として認められている」と説明。「平和的なデモや抗議行動を行うことは、交通の往来と同じ、道路の正当な使用目的に含まれている。もちろん抗議活動を行う側も安全に配慮することが求められるが、一方で国は平和的な集会を行う権利を守る責任がある」と指摘した。

 その上で、デモや座り込みなどの集会は「政府に説明責任を果たさせ、民主的過程の一環として市民の意思を表明することで、市民参加の基本的な役割を果たす」行動であるとの考えを示し、「原因を調査し、再発防止策を講じることは大切だが、不幸な事故があったことを理由にこの重要な権利を全面的に否定するようなことがあってはならない」と締めくくった。

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