住宅メーカー大手、住友林業(東京)の熊本支店で働く男性新入社員(当時24)が2016年に自殺したのは、長時間労働や上司のパワハラが原因として、父親(64)が遺族補償を不支給とした熊本労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、福岡地裁は5日、業務起因性を認め処分を取り消した。
中辻雄一朗裁判長は判決理由で、月100時間を超える時間外労働(残業)があったと認定。上司が同僚らの面前で叱責したり、「気合が足りない」などと前時代的な指導をしたりしたことで「自尊心を損なわせて無抵抗な状態に追い込み、不相当で適切性を欠くものだった」と指摘した。
判決によると、15年4月に入社し、顧客への電話営業などに従事。11月17日ごろに精神疾患を発症し、16年1月1日に自殺した。父親が17年2月に労災を申請したが、12月に不支給処分となり、審査請求も退けられた。
母親(58)は記者会見で「こんなにつらい悲しみ、苦しみをもう誰にもしてほしくない」と涙ながらに話した。
労基署は「関係機関とも協議をした上で判断したい」とコメントした。〔共同〕
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。