旧優生保護法に基づき不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、宮城県と大阪府の男女4人が国に損害賠償を求めた2件の訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は4日付で、国の上告を受理しない決定をした。国に賠償を命じた仙台、大阪の各高裁判決が確定した。旧法は違憲とし、国の賠償責任を認めた3日の大法廷判決に沿った判断となる。

◆3日の大法廷判決に沿った判断

 いずれも裁判官5人全員一致の意見。国への賠償を命じた判決や決定が確定するのは計6件となる。昨年10月の仙台高裁判決、今年1月の大阪高裁判決とも旧法の違憲性と国の賠償責任を認めた上で、宮城県の70代と80代の男性2人に計3300万円を、大阪府の70代夫婦に計1320万円を支払うよう国に命じた。  今月3日の最高裁大法廷判決は、旧法は1948年の立法時から違憲で、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」は「著しく正義・公平の理念に反する」として適用せず、国の賠償責任を認める初判断を示した。審理対象の5件の訴訟のうち4件で賠償命令が確定し、残り1件は原告敗訴の仙台高裁判決を破棄し、賠償額算定のため審理を差し戻した。  96年に差別的規定が削除されるまで、旧法下では障害者ら約2万5000人が不妊手術を受けたとされ、2018年以降、被害者ら39人が全国12地裁・支部で提訴した。(太田理英子) 

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