◆周辺県から日々、300万人以上が通う
東京タワーと都心のビル群を望む
現在の都内人口は1400万人。周辺県からは日々、300万人以上の通勤・通学者がやってくる。帰宅困難者への対策や避難所運営が新たな課題となっている。 都の被害想定では、マグニチュード(M)7.3の首都直下地震による帰宅困難者は453万人。帰宅困難者は2011年の東日本大震災の発生時に大きな問題となった。鉄道が止まり道路には歩いて帰る人の長い列ができた。国の推計では都内で352万人が当日中に家に帰れなかった。 首都直下地震では、建物の被害がより大きくなる可能性がある。帰宅困難者が一斉に歩いて帰ると、けがや群衆雪崩などを引き起こす恐れがある。車道に人があふれると、消防車や救急車の通行の妨げになる。◆発災時に行政は救命を優先する…一人ひとりが心の備えを
都は帰宅困難者対策として、都内事業者に従業員3日分の水や食料を備蓄するよう努力義務化したが、東京商工会議所のアンケートによると実施企業は約半数だ。観光客など行き場の無い人を受け入れる「一時滞在施設」の確保も進めているが、必要想定数66万人分に対し7割にとどまる。 首都直下地震による都内の被害は、死者約6100人、建壊損壊は約19万4000棟と想定されている。地震に限らず、集中豪雨に伴う都市型洪水や河川の氾濫、富士山噴火による火山灰の被害など、東京には多くの災害リスクがある。 東京大先端科学技術研究センターの廣井悠教授(都市防災)は「いざ災害が起きると、行政は救命などの業務に追われ、なかなか帰宅困難者に対応できない。『地震が起きたら無理に帰らない』という意識を広げるなど、より伝わる防災が重要だ」と話す。(岡本太) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。