鹿児島県警の内部文書が漏洩(ろうえい)した事件で、国家公務員法違反(守秘義務違反)の罪で起訴された前生活安全部長、本田尚志被告(60)が公判で無罪を主張する方針であることが28日、弁護人への取材でわかった。

 弁護人は、前部長が札幌市在住のライター小笠原淳さん(55)に文書を郵送したのは、警察官による盗撮事件やストーカー事案を野川明輝本部長が「隠蔽(いんぺい)」したことなどを明らかにしようとしたためと強調。この行為は「公益通報または、それに準じるもの」で、守秘義務違反には当たらず、「正当行為として無罪になる」と訴えた。

 また、元巡査長=懲戒免職=による別の内部資料「告訴・告発事件処理簿一覧表」の漏洩事件で、県警が福岡市のウェブメディア「ハンター」の関係先を捜索した際、小笠原さんから転送された文書を押収したことが前部長の逮捕につながったと指摘。取材源を秘匿する権利を侵害したとの批判もあるなか、「違法な捜索、差し押さえの可能性があり、(文書は)違法収集証拠として、証拠から排除されるべきもの」とし、前部長の罪は立証できないと主張した。(冨田悦央)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。