不適切な会計支出などで漁業協同組合JFしまね(松江市)が損害を受けたとして、組合員35人が組合の岸宏会長に対し約1億741万円の損害賠償金を組合に支払うよう求めた組合員代表訴訟の判決が28日、松江地裁であった。三島恭子裁判長は、組合員の主張を一部認め、岸会長に約4151万円を支払うよう命じた。

 訴状などによると組合員側は、小売り大手への視察などの名目で2008年8月以降、業務上必要のない飲食費や旅費などが旅費規程を超えて約5558万円が岸会長に支払われた▽岸会長は2013年に閉店した組合直営の鮮魚販売店の預金残高1500万円の会計処理を怠って所在不明にした▽岸会長は法人・消費税の申告・納付の決裁を怠り約1444万円の加算税・延滞金が発生した、などと訴えていた。

 一方、岸会長は訴訟の中で、「取引にはトップセールスが必要」と視察にかかった費用は必要経費だったと反論。また、鮮魚販売店の閉店時の預金残高は「未払い代金などに充てた」などと主張していた。

 この日の判決で三島裁判長は、視察時の飲食費などは私的なものだったと認定。税務申告・納付をめぐっても組合に損害を与えたとして、岸会長に計約4151万円の損害賠償を命じた。鮮魚販売店の会計処理については、所在不明金はないと判断した。

 原告の1人の福田薫理事は、判決後に会見し「判決を真摯(しんし)に受け止めて(損害賠償を)受け入れてもらいたい」と話した。一方、組合は「主張が認められなかった部分は控訴する」との岸会長コメントを発表した。(中川史)

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