鹿児島県警で警察官らによる不祥事が相次いだことを受け、警察庁は21日、同県警に対する特別監察を実施すると発表した。片倉秀樹首席監察官ら3人が24日から同県警本部に入り、野川明輝本部長ら幹部や職員から聞き取りなどをする。一連の不祥事が起きた原因の分析や、県警による再発防止策の策定作業の点検などを行う。

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 今回の特別監察では、幹部や職員らからの聴取や関係書類の確認などを通じて、一連の不祥事が起きた原因を探る。県警は7月中にも再発防止策をまとめるといい、監察の一環として、有効な防止策を作るよう支援する。県警は対策にあたり、組織風土や職員の意識などに踏み込んで検討する考えという。

 警察庁による監察には、各都道府県警に年1回ずつ計画的に行う「計画監察」と、重大な事案や不祥事が続く警察に対し、規律保持のために必要に応じて入る「随時監察(特別監察)」がある。警察庁によると、記録が残る2011年以降、特別監察は12年11月に愛知県警、14年3月に大阪府警、同年5月に岡山県警に行った。

 警察庁は21日、野川本部長に長官訓戒の処分をした。懲戒処分ではない監督上の措置だ。

本部長が隠蔽した状況「見当たらない」と判断

 警察庁は、野川本部長が事件の隠蔽(いんぺい)を指示した状況は見当たらないと判断した。しかし、昨年12月に枕崎署員がトイレの個室で盗撮した疑いがある事件で報告を受け、捜査を尽くすように指示したものの、その後に捜査状況を確認したり報告を求めたりせず、「捜査の基本に欠けるところがあった」として処分した。

 野川本部長は、捜査情報を漏らしたとして曽於署の巡査長が地方公務員法違反で逮捕、起訴された事件に関し、5月20日にも警察庁による口頭厳重注意の処分を受けている。(編集委員・吉田伸八、板倉大地)

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