宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2023年から24年にかけてサイバー攻撃を複数回受け、機密指定を含む情報が外部に流出した可能性があることが21日、分かった。関係者によると、流出の恐れがあるファイルは1万以上にのぼり、JAXAと秘密保持契約を結んでいた外部機関の情報も含まれていたとみられる。

JAXAは文部科学省などに被害を報告した。流出した可能性のあるファイルについて、「ロケットや人工衛星に関する機微情報は含まれていない」と説明しているという。

JAXAは「関係者の皆様にご迷惑をおかけしていることを真摯に受け止めている。今後、対策の強化を進めていく。サイバー攻撃の詳細については回答を差し控える」とコメントした。

JAXAはロケットの打ち上げや人工衛星、宇宙探査など日本の宇宙開発で中心的な役割を担う。近年は宇宙利用の安全保障上の重要性も高まり、機密性が高い情報を数多く取り扱っている。

木原稔防衛相は21日の閣議後の記者会見で「JAXAは宇宙・航空分野で重要な役割を果たしており、装備品などの研究開発、役務の契約相手方でもある。現時点で防衛省の業務に特段の支障はないと考えているが、JAXAによる調査を引き続き確認していきたい」と述べた。

JAXAは過去にもたびたびサイバー攻撃を受けてきた経緯がある。16〜17年にはJAXAを含む国内約200の企業や研究機関に大規模なサイバー攻撃があった。12〜13年にも不正アクセスが複数回発生した。

23年11月には内部ネットワークへの不正アクセスが警察からの連絡で分かったと明らかにした。ただ、ロケットや人工衛星といった機微情報を扱うネットワークとは異なる一般業務の情報を管理するイントラネットに対する不正アクセスだったとしていた。JAXAの山川宏理事長は当時、「サイバー攻撃を受けたのは事実だが、ロケットや人工衛星に関する機微情報はしっかり管理しており、漏洩したと考えていない」と説明していた。

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