◆「国民を詐欺から守るため」の一環
マイナンバーカードにかざしたスマートフォン
一連の方針は18日の関係閣僚会議で決定した「国民を詐欺から守るための総合対策」に入った。従来は運転免許証の顔写真を目視するなどで、本人確認する方法も取られていたが、偽造を見破れず、不正取得された携帯電話が特殊詐欺などで使われる例が多発したという。 総合対策では、窓口で行う対面契約は「マイナンバーカード等のICチップの情報の読み取りを(中略)義務付ける」と記された。 目を引く記述は、これだけではない。 携帯大手では、インターネットのみで契約を受け付ける格安プランへのシフトが進んでいる。こうした非対面契約での本人確認は「マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化」と打ち出した。 所管する総務省利用環境課は「電子的な本人確認を義務化するという趣旨。対面、非対面を問わず、マイナカードでなければダメということではない」と説明するのだが、文面はマイナカード中心の書きぶりだ。実施時期は未定という。◆ICチップの活用は「自然な話」だが…
ICチップ付きの各種カードを使った本人確認はどう捉えるべきか。 ITジャーナリストの三上洋氏は「ICチップを使わない本人確認は犯罪集団に使われ放題。携帯電話の犯罪利用を撲滅するために利用するのは自然な話」と一定の評価をする。 今年4月には東京都議が偽造マイナカードで携帯を乗っ取られる被害が報じられた。店側の本人確認はカードの目視で行われた。 三上氏は「マイナカードでいえば、ICチップの中身を不正に読み取ったり、偽造したりすることは現在の技術ではほぼ不可能」と指摘。ICチップで本人確認するのは「確実かつ安全な方法だ」と述べ、携帯電話会社側も「業界の流れになっている」という。◆取り残される人について「何らかの検討」
その一方、「取り残される人」への対応の必要性を指摘する。「マイナカードや運転免許証など、ICチップ付きの身分証を持っていない人は、若者をはじめ一定数いるだろう。今までなら、オンラインで身分証の写真を撮って送信すれば契約できていたのができなくなる。そういう人は確実に不便になる」 この点、総務省の担当者は「非電子的な方法をどう確保するかは決まっていない。何らかの検討をすることにはなると思うが…」と不備を認める。犯罪対策閣僚会議で発言する岸田首相(左から3人目)=18日、首相官邸で(佐藤哲紀撮影)
不透明さが残る中、マイナカードの利用促進に傾く政府の姿勢には、厳しいまなざしが向く。◆民間の商取引まで国が管理を狙う?
白鷗大の石村耕治名誉教授(情報法)は「マイナカードを持つ、持たないは任意の話なのに、持つことを前提のようにして制度設計するのは問題がある。健康保険証の廃止と同じではないか」と批判する。 危惧するのは今後の展開だ。「政府はあらゆるオンライン上の本人確認に、マイナカードに格納されているデジタルIDを使わせようとしている。今回もその一環だろう」とみる。 実際、政府はマイナカードについて「デジタル社会のパスポート」をうたい文句に普及を進めてきた。 「民間のオンラインサイトでは普通、ID番号やパスワードで本人確認し、問題はない。それを政府は官製のデジタルIDに置きかえようとしている。民間商取引まで国家管理したいのではないか」と懸念する。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。