粉飾した決算報告書を示し三菱UFJ銀行から融資金5億円を詐取したとして、警視庁捜査2課は18日、2023年に経営破綻したベアリング販売の堀正工業(東京都、破産手続き中)元社長、堀雅晴容疑者(69)ら3人を詐欺の疑いで逮捕した。

堀正工業はメガバンクや地方銀行が「優良先」として融資していた。粉飾決算といったコンプライアンス(法令順守)違反による倒産が増えており、金融庁は融資を巡る金融機関の審査に緩みがないか点検を進めている。

同課によると、他に逮捕したのは同社元総務部長の大熊重康容疑者(73)ら。

逮捕容疑は22年11月〜23年2月ごろ、実際には赤字にもかかわらず利益が出ているかのように粉飾した決算報告書を作成し、融資金を会社の運転資金に充てると嘘を告げて三菱UFJ銀から計5億円を詐取した疑い。同課は認否を明らかにしていない。

堀正工業の破産申立書によると、同社は1933年に創業。50年にベアリング大手NTNの代理店となった。自動車や建設機械などの大手メーカーを得意先としてベアリングの販売を手掛けてきた。

同社は2003年から売上高を水増しするなどの粉飾決算を続けていたという。対外的に示した22年9月期の決算報告書は約4億7700万円の純利益があったとしていたが、実際には約3億4200万円の赤字だった。

破産申し立て時点で46の金融機関から融資を受けていた。同課は堀容疑者が借入金を他行への返済や私的な消費に充てたとみて、融資を受けた経緯などを詳しく調べる。

同社は23年に粉飾決算が発覚し資金繰りが悪化。23年7月に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。破産申し立て時点の金融機関に対する負債は約250億円だった。

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