福岡県飯塚市で1992年、小学1年の女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑が確定、2008年に執行された久間三千年・元死刑囚(当時70)の第2次再審請求審で、福岡地裁(鈴嶋晋一裁判長)は5日、裁判をやり直すかどうかの決定を出す。再審開始を認めれば、死刑執行後で初めてのケースだ。

元死刑囚は捜査段階から一貫して否認し、再審請求前に死刑が執行された。弁護側は第2次請求審で、被害女児を目撃したという2人の「新証言」を基に、元死刑囚が犯人ではないと主張。第1次請求審の地裁決定は、DNA型鑑定の信用性低下を認めていた。

確定判決によると、92年2月20日朝、登校中の女児2人(いずれも当時7)をワゴン車に乗せて誘拐・略取し、首を絞めて殺害。遺体を福岡県甘木市(現朝倉市)の山中に遺棄した。

第2次請求の証人の1人は、確定判決が被害女児の最後の目撃者とした女性。供述を根拠に、直後に目撃場所で連れ去られたと認定していた。昨年11月の尋問で、実際目にしたのは当日ではなく、警察に押し切られ、記憶と異なる供述をしたと説明した。

もう1人の証人の男性(75)は昨年5月、事件当日に飯塚市の別の場所で、30代ぐらいの男が運転する車に、被害女児に似た2人が乗っていたのを見たと述べた。元死刑囚は当時54歳だった。

弁護団は、女性の証言が「旧証拠全体の構造を揺るがす」と見て、元死刑囚が連れ去ったとする認定が成り立たず、遺留品の発見現場近くで目撃された車と男も元死刑囚と関連しないとの見解を示している。

第1次請求審の14年地裁決定は、被害女児に付着した犯人の血液と、元死刑囚のDNA型が一致したとする鑑定結果は「直ちに有罪の根拠とできない」と言及。ただ、他の複数の証拠で犯人性は証明されているとして請求を退け、福岡高裁、最高裁も支持した。〔共同〕

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