千葉県や伊豆大島(東京都大島町)で繁殖し農業被害などが問題となっているシカ科の特定外来生物「キョン」が、茨城県でも目撃されるようになり、茨城県は30日、キョンの目撃情報に報奨金を支払う制度を始めた。4月以降に県内で撮影された画像や動画1件当たり2000円を支払う。

◆隣の千葉県内には7万匹余りが生息か…利根川が「防衛線」

 県によると、キョンの情報への報奨金制度は全国初。県内の目撃事例は2017年5月が最初で、神栖市内の千葉県境の橋の上で車にひかれて死んでいる個体が見つかった。その後の確実な目撃情報は22年に1件、23年に2件あり、いずれも雄だった。

茨城県石岡市で2022年12月に撮影されたキョン=県猟友会石岡支部提供

 茨城へは千葉県から移動してきているとみられる。千葉県によると、県内の生息数(推定)は22年には約7万1500匹で、野菜などの農業被害や鳴き声による苦情が多い。定着域は2004年の5市町から、20年には主に県南部の17市町まで増えた。  茨城県は県境の利根川が防衛線になると考えているが、県の担当者は「橋を渡るケースもあるし、泳いでくる可能性もゼロではない。できるだけ多くの人の協力で監視を強化したい」と危機感を募らせている。  茨城県内のキョンの目撃情報は県生物多様性センター=電029(301)2940=へ。狩猟者などによる捕獲に対しても、1匹当たり3万円を支払う。 (長崎高大) 

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