死者58人、行方不明者5人を出した長野・岐阜県境の御嶽山噴火災害の危険性を伝える写真展が29日、東京都品川区の同区民ギャラリーで始まった。噴火直後、山頂で噴煙を見ている登山者たちの姿を収めた写真や犠牲者が身につけていた遺品など100点以上を展示。来場者は、写真と説明文の前で足を止め、じっくりと見入っていた。

 2014年9月の噴火災害の発生から10年を迎える。写真展は、被災者家族らでつくる団体「山びこの会」が、火山災害の風化を防ぎ、後世に語り継ぐために企画した。18年以降、長野県内や名古屋市などで開催を続けており、6回目。今回は、山頂部で亡くなった県内男性の遺族から提供を受け、噴石を浴びて穴が開いた衣服や帽子、折れたストックを初めて展示した。衝撃で大きく曲がった金属製のカップなど、噴火の威力が一目で分かる品々も並べた。

 この日、会場を訪れた同区の島岡法子さん(63)は「噴煙の写真からは火山のパワーを感じたし、犠牲者の遺品を見て、自然の怖さを思い知った」と話した。

 山びこの会事務局代表のシャーロック英子さんは「あれから10年がたとうとしており、この写真展を開く意義は大きくなってきていると感じている。あのとき御嶽山でどんなことが起きたのか、火山災害のすさまじさを一人でも多くの若い世代に知ってもらい、二度と同じ悲劇を繰り返さないよう、教訓にしてもらいたい」と話す。

 同展は6月3日までの午前10時~午後7時(3日は午後5時まで)。入場無料。(佐藤仁彦)

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