コーヒー片手に歌や太鼓の演奏に聴き入ったり、手作りアートやネイルを楽しんだり――。今年1月の能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市で26日、地元の住民によるイベント「心の復興マルシェAka Aka」が開かれた。

 会場となったのは、珠洲市正院町にある仮設住宅の集会所。事務局長の小町史華さん(30)によると、「Aka Aka」は、ハワイの言葉で「笑う」「明るい」という意味がある。誰もが生活の不安を抱えるなか、笑い声が響き合うコミュニティーを取り戻していきたいという思いを込めた。

 晴天の下、約150人が参加。70代の両親が仮設住宅に住む松本佳苗さん(40)は、3人の子どもを連れて訪れた。「親にとっては外に出るきっかけになる。子どもたちも楽しそう」と喜んだ。

 出店した野口美樹さん(38)は、石川県志賀町でネイル店を営む傍ら、福祉施設で利用者にネイルを施してきた。自身も被災し、穴水町から店を移転した。「まだまだ大変な毎日だと思うけど、寝る前にネイルを見て少しでも元気になってもらえたら」と話した。

 マルシェは、仮設住宅がある正院町出身の小町さんが発案。協力してくれそうな人に声をかけ、ゼロから準備を進めてきた。「みるみる縁がつながった。地元の人が集まり、自由に時間を過ごせる。そんな場をこれからもつくっていきたい」

 次回は今年9月を予定している。(藤谷和広)

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