栃木県那須町の河川敷で夫婦の焼かれた遺体が見つかった事件で、警視庁と県警の合同捜査本部は21日、死体損壊容疑で逮捕していた元俳優の若山耀人(きらと)(20)、姜光紀(カングァンギ)(20)=いずれも住所、職業不詳=の両容疑者を、殺人容疑で再逮捕することが、捜査関係者への取材で分かった。  捜査関係者によると、複数人と共謀して4月15~16日、東京都品川区の空き家のガレージで、会社役員宝島龍太郎さん(55)夫婦を窒息させて殺害した疑いが持たれている。両容疑者は、首謀者から報酬を受け取る代わりに、面識のない夫婦に暴行を加えた「実行役」とされる。

◆NHK大河ドラマ主役の子ども時代を好演

 元俳優の若山耀人容疑者は、合同捜査本部の調べに完全黙秘し、雑談にも応じていないという。周囲の証言から、地方都市の運動好きの少年が華やかな芸能界に入り、容疑者になるまでの変化が浮かび上がった。  「プロのサッカー選手になって、ブラジルのネイマール選手のようなドリブルをみがき、世界一の選手になるのが夢です」  東京から約250キロ、自然豊かな岐阜県美濃加茂市。そこで育った若山容疑者は、小学校の卒業文集にこう記していた。

パトカーの赤色灯(写真はイメージです)

 母の勧めで東京の大手芸能事務所に所属し、10歳でNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で主人公の幼少期を演じて注目を集めた。その一方で、サッカー少年の顔があった。  近所に住んでいた50代男性は「サッカー好きで路上でリフティングする姿をよく見かけた」と話し、同級生の母親は「普段は運動好きの男の子。芸能活動が忙しいのに地元から東京に通っていた」と振り返る。

◆「脱子役」に失敗し、居場所求めた夜の街で出会った

 芸能関係者によれば、共演者からは「将来有望」と高い評価だった。役者に専念するため中学2年ごろ、東京に引っ越したという。  だが、脱子役は難しかった。芸能関係者は「成長につれ、演じる役が変わっていく時期に伸び悩んでしまったようだ」と語る。2020年には「芸能界の引退」を理由に、市のPR大使を辞退すると伝えた。  夢破れても東京にとどまった若山容疑者は、夜の街に居場所を求めた。20代が集まる都内のクラブ店員は「VIP席で仲間とシャンパンを開けて大騒ぎする姿が印象に残っている。逮捕されるまで俳優だったとは知らなかった」と話す。  関係者によると、このクラブで、同じ事件で逮捕された平山綾拳(りょうけん)(25)、姜光紀の両容疑者と出会ったという。  逮捕されたとき、首筋や手首には俳優時代にはなかった入れ墨が刻まれていた。少年時代を知る30代男性は「地元にいたら事件に関わることなんてなかったはず。東京で悪いことを覚えて、変わってしまったのかなあ」とつぶやいた。(鈴鹿雄大) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。