埼玉県戸田市の首都高速道路池袋線で14日、渋滞の車列に大型トラックが追突し、乗用車の3人が死亡した事故で、トラックを運転し、警視庁が自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑で逮捕した運送会社社員の降籏紗京(ふりはたさきょう)容疑者(28)が「高熱があり(現場約1キロ手前の)戸田南インターチェンジの辺りから意識がなかった」と話していることが、捜査関係者への取材で分かった。  捜査関係者によると、付近のカメラには、トラックが少なくとも現場の10メートル手前から減速せずに、車列に突っ込む様子が写っていた。映像や事故の状況などから、時速60~70キロで追突したとみられる。警視庁交通捜査課は、降籏容疑者が意識がもうろうとし、ブレーキを踏まずに追突した可能性があるとみている。

運送会社「マルハリ」の家宅捜索に入る警視庁の捜査員ら=17日、神奈川県厚木市三田で

◆厚木市の営業所に家宅捜索

 課は17日、降籏容疑者が勤務していた運送会社「マルハリ」(札幌市)の神奈川県厚木市の営業所を家宅捜索。運転日誌や運行記録、降籏容疑者の自家用車のドライブレコーダーの記録媒体などを押収し、運行管理などを調べている。  事故は14日午前7時35分ごろに発生。乗用車とトラック計7台が絡み、炎上した乗用車の3人が死亡し、他のトラックの2人もけがをした。  ◇  ◇

◆「起きてはならないことが起きた」と営業所の代表

トラックなど車7台がからむ事故の起きた現場=14日、埼玉県戸田市で、本社ヘリ「あさづる」から

 「マルハリ」神奈川営業所(神奈川県厚木市)で五十嵐真樹代表と配車担当者が17日、報道各社の取材に応じた。五十嵐代表らによると、事故前日の13日正午ごろの点呼で、降籏容疑者が「体調が悪い」と報告。容体を尋ねると「大丈夫」と答えたため、早めに帰宅させて様子を見たという。  翌14日、降籏容疑者は午前4時ごろにトラックで出発。通常は安全運転管理者が酒気のチェックや車両点検をするが「本人が早く出てしまい、この日は受けていなかった」という。眠くなる風邪薬を運転前に飲まないようにするなどの健康管理は「本人に任せている」と説明した。  降籏容疑者は昨年、トラックで人身事故を起こしており、会社としても指導していたというが、配車担当者は「勤務態度は真面目で欠勤や遅刻もなかった」と話した。五十嵐代表は「残念な事故で、起きてはならないことが起きてしまった」と述べた。 

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