SNSを通じて投資を勧める「SNS型投資詐欺」と、恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」について、警察庁は16日、今年1~3月の被害状況をまとめた。合わせて2303件、計279億8千万円の被害で、昨年1年分の6割になった。

 勧誘の手段にはバナーなどのネット広告が多く使われており、警察庁が注意を呼びかけている。担当者は「被害が引き続き増えており、極めて深刻な状況だ」と話し、捜査と被害の抑止に力を入れていくとした。

 SNS型は1700件で219億3千万円、ロマンス詐欺は603件で60億6千万円の被害があった。1件あたりの被害額はどちらも平均で1千万円を超え、特殊詐欺の242万円を大きく上回る。今回調査での被害額の最高はSNS型で4億5千万円、ロマンス詐欺で1億2千万円。これとは別に4月、茨城県の70代女性がSNS型で約8億円をだまし取られた。

 SNS型は被害の半数で勧誘手段にバナーなどネット広告が使われた。アクセスするとLINEのグループなどに誘導される。SNSのダイレクトメッセージでの勧誘も2割近くあった。犯人側が名乗った肩書では、投資家や著名人が半数超だった。

 ロマンス詐欺はマッチングアプリでの勧誘が最多で、フェイスブックなどが続いた。全体の6割でダイレクトメッセージが送られており、投資名目での被害が目立った。今回の調査で、犯人側が称した国籍に新たに日本を追加。最多は国内居住の日本人で4割超を占め、東アジアや東南アジアが続いた。

 警察庁は3月に捜査体制を構築するよう全国の警察に指示するなど、対策を急いでいる。1~3月には全国で、SNS型で4人、ロマンス詐欺で5人を摘発した。現金の引き出し役やSNSでの接触役が含まれ、外国人も2人いるという。(板倉大地)

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