ロシアによるウクライナ侵攻で日ロ関係が冷えこむ中、NPO法人「札幌ノボシビルスク協会」(札幌市中央区)が草の根の地方交流を続けている。侵攻後もオンラインで連絡を維持し、5月には4年半ぶりの訪ロを予定する。理事長の長谷川真奈(はせがわ・まな)さん(57)は「国の関係が難しい時代こそ個人のつながりを守りたい」と願う。(共同通信=中西慧)
約60の個人・団体が所属。2004年に前身団体が設立されて以来、札幌市の姉妹都市であるシベリアのノボシビルスク市の民間交流団体として、書道家を派遣したり、ロシアの若手教員を招き小中高校を視察してもらったりと、さまざまな活動を続けてきた。
北海道根室市生まれの長谷川さんは、モスクワ留学経験を生かして根室でロシア語通訳として働いた後、ロシア人観光客の増加を見込んで札幌で旅行会社を立ち上げた。2016年に協会理事長に就任。2018年には日ロの文化交流年が始まり、活動拡大に期待が高まっていた。
だが、新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限に加え、2022年2月にウクライナ侵攻が始まると状況は一変。侵攻への反発などから、協会でも数人が退会した。
「今までやってきたことは何だったのか。ロシアと長く関わった人々が去ったのがつらかった」。侵攻は長期化し、昨年も会に残ったメンバーから「(ロシアとの)つながりを守ろうとせず、心が離れていく自分が怖い」と打ち明けられた。
ただ、ロシア側の「日本を知りたい」との熱意は変わらないとも気付いた。昨年11月にノボシビルスクで開かれた日本語弁論大会には約20人が出場。オンライン交流も定期的に行っている。
5月にはノボシビルスク市での日本フェスティバルに参加する予定だ。「ロシア社会の何が変わり、変わらなかったのかを見極めたい」と長谷川さんは意気込む。「普通のロシア人たちとの交流を維持することは、地理的に近い日本や北海道の安全保障の上でも重要なはずだ」
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