千葉県農林総合研究センターでは、県内10か所にカメムシを捕獲する装置を設置し発生状況を調べていて、4月は一日当たりの捕獲数が例年の7倍以上となりました。

このため、県は5月、2014年以来となる「果樹カメムシ類」についての注意報を発表しました。

千葉市緑区にあるセンターの敷地内にも捕獲用の装置が設置されていて、例年より多くのカメムシが見られるということです。

捕獲数が多いのは、千葉県で生産がさかんな梨やびわなどの果物に被害をもたらす、
▽チャバネアオカメムシ
▽ツヤアオカメムシ
▽クサギカメムシ
の3種類です。

センターによりますと、去年、餌となるスギやヒノキの実が多かったため、数が増え、暖冬の影響で多くがそのまま越冬し、この時期の増加につながっているとみられるということです。

センターでは生産者に対して、薬剤を散布したり、カメムシが園内に入るのを防ぐために目の細かい網で園内を囲ったりするなどの、対策を呼びかけています。

千葉県は、去年8月にコメの養分を吸って品質の低下を招く「斑点米カメムシ類」の注意報を出していて、センターによりますと、コメの害になるカメムシもことしの夏、多く発生するおそれがあるということです。

千葉県農林総合研究センター病害虫防除課の矢内浩二課長は「これから安房地域の特産であるびわの収穫期を迎えるので、品質の低下が懸念されますが、この先しっかり対策すれば十分防げると思うので、園内をよく見て対策していただきたい」と話していました。

千葉 南房総 特産のびわへの被害 農家が懸念

千葉県南部の南房総市では、特産のびわにカメムシの被害が出ないか、農家の人たちが懸念しています。

南房総市の穂積昭治さん(79)が経営するびわ園では、4月からハウス栽培のびわの出荷が本格的に始まっています。

地域ではカメムシが大量発生していて、穂積さんの農場はハウスで栽培を行っているため、今のところ被害は限定的だということです。

ただ、これから出荷シーズンを迎える露地栽培の農家からは、被害が広がらないか心配する声が聞こえているということで、被害が出ないよう、農薬を散布するほか、実を袋で2重に包むなどの対策をとっているところもあるということです。

穂積さんは「例年よりもカメムシの数が多く、ハウスであっても時々被害を受けたびわが出てきます。農家の間でもことしはカメムシの数が多いと話題となっていて、心配です」と話していました。

「房州枇杷研究会」の会長で、露地でびわを栽培している和泉澤充さんは、「農薬を散布するときに、これまでに見たことがないくらいの数のカメムシが飛んでいく姿を見ました。露地栽培のびわは来週ごろから収穫なので、そのころに被害が明らかになると思います。対策を尽くして、よいびわを届けたいです」と話していました。

カメムシ被害 びわ以外の果物でも

カメムシの被害は、びわ以外の果物でも発生しています。

千葉県柏市にある農園では5月、栽培している桃でカメムシの被害を受けました。

農園を運営する男性によりますと、例年、桃の実に網をかけてカメムシの被害を受けないよう対策をしているということですが、ことしはカメムシの数が多く、栽培している桃のうちおよそ半分が販売できない状態になってしまったということです。

男性が5月11日に撮影した写真では、まだ青い実に複数のくぼみができている様子が確認できます。

男性は「ことしは例年より早い先月下旬ごろからカメムシが出てきました。傷んだ桃は木から落とすしかなく、販売できずに残念です」と話していました。

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