ダウン症の娘を育てる大阪府の母親が描いた絵本が3月に出版された。タイトルは「もし ぼくのかみが あおいろ だったら」。子どもの真っすぐな問いかけに、大人は答えに窮して考えさせられる内容だ。書籍化は、同じくダウン症の娘を持つ東京都内の出版社で働く母親の強い思いからだった。(藤原哲也)

3月に発売された絵本(左)とエッセー本

◆「どんな時でも味方でいたい」残していた子どもとの会話

ガードナー瑞穂さん(右)と次女の茉莉衣さん(提供写真)

 「(娘が4月に支援学校に入学し)すごい順調。私ばかりが心配だったが肩透かしだった」「それ分かります。でも楽しそうで良かった」  4月、オンラインで打ち合わせをした著者でイラストレーターのガードナー瑞穂さん(45)と、編集者の中山広美さん(46)。子どもの近況報告に笑みが広がった。  ガードナーさんが次女茉莉衣(まりい)さん(6)のダウン症を告知されたのは生まれて3日後。現実を受け入れるのに時間はかかったが、前向きに3人の子育てに奔走してきた。絵本は低学年時に不登校だった長男エイデン君(11)との会話を基に作り「どんな時でも彼の味方でいたかったのと、問いかけが面白かったので忘れないように書き残していた」と振り返る。  3年ほど前に描いたが、子どもたちに見せる機会はなく、自宅に眠っていた手作りの絵本。その中に印象的な問いかけがある。  「いつか僕がパパになって、生まれてきた赤ちゃんに障害があったら、僕はどうしたらいい?」。妹との生活の中でエイデン君が感じた素朴な問いだった。

◆「子育てに苦労する人みんなが救われる」

ガードナー瑞穂さんとオンラインで打ち合わせをする中山広美さん

 昨年秋にガードナーさんに密着した報道番組を見て絵本に共感したのが中山さん。「内容が教訓めいていなくて自然に入ってくる。私自身もこの問いかけを社会にしたかった」。ガードナーさんに連絡を取り、書籍化の話がまとまった。  中山さんは長女由梨さん(8)がダウン症で、長男慶一君(11)は小児がんを患った。治療や通院で仕事との両立が厳しくなる中、保育園の見学すら何カ所も断られ「社会の壁」を実感。そして「いつか自分の立場を生かせる仕事を」と考える中で出合ったのが本作だ。ガードナーさんが親の考えをつづった投稿サイトにも注目、これを編集したエッセー本の同時出版にもこぎ着けた。  「ユーモアがあり、ふわっと癒やされる文章。ダウン症だけでなく子育てに苦労する人みんなが救われると思う」と中山さんが語ると、ガードナーさんは「連絡が来た時は驚いたが、すぐに分かり合えた。今は子どもたちに絵本を読み聞かせると、うれしそうに見ている」と感謝する。2人は2冊に込めた子どもへの愛のメッセージが多くの人に届くことを願っている。  絵本とエッセー本「ダウン症それがどうした⁉と思えるママになるための100のステップ~まりいちゃんが教えてくれたこと」は東京ニュース通信社発行。絵本は税込み1650円、エッセーは同1760円。 

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