北はりま消防組合加西消防署(兵庫県加西市)は、県立農業大学校の教職員、学生11人に感謝状を贈った。収穫祭が開催されていた大学校で倒れた高齢男性を、連係して救助した。

 昨年11月19日。収穫祭が終わって片付けをしていた淀川琳音さん(20)は、女性が男性の腰を支えながら歩く高齢の2人を見た。「仲の良いご夫婦だな」と思った直後、男性が後ろに倒れた。舗装された地面に頭をぶつけたように見えた。近くにいた中村勇太さん(19)と2人で駆け寄った。

 男性は意識がないようだった。別の学生が肥料袋を持ってきて枕代わりに頭にあてがい、気道を確保した。近くにいた他の学生たちも教職員を呼びに行き、校内に設置してあるAED(自動体外式除細動器)を取りに走った。

 駆けつけた事務担当の伊藤真由美さん(52)は、消防士になる人たちが学ぶ消防学校で勤務した経験があり、救命の講習会をよく見ていた。「心臓マッサージを続けることが大事」。小舟博文校長と交代で胸骨圧迫を繰り返した。

 学生がAEDを持ってきてくれた。電気ショックを与える際には「手が震えた」と伊藤さん。「講習の様子はよく見ていたのに……。本物を使うのは初めてで、パッドがすぐに見つかりませんでした」。男性の意識は戻らず、伊藤さんは救急隊が到着するまで胸骨圧迫を続けた。

 加西消防署によると、救急隊到着時には男性の自己心拍と自発呼吸が再開されていた。ドクターヘリで搬送された男性は、入院治療後、社会復帰を果たしているという。

 3月22日に加西消防署であった感謝状贈呈式には、表彰対象者のうち10人が参加した。飯尾昌弘署長は「勇気ある的確な措置で人命を救っていただき、感謝申し上げます」と話した。=肩書は当時(宮沢崇志)

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