【エルサレム共同=平野雄吾】イスラエル軍は7日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファ東部でイスラム組織ハマスに対する限定的な地上作戦を実施し、エジプト境界にあるラファ検問所のガザ側を完全掌握したと発表した。ハマスへの圧力を強化した。ハマスは6日、戦闘休止と人質解放を巡る間接交渉で仲介役が示した3段階の休戦案を受け入れると表明した。イスラエル首相府は「要求と懸け離れている」と非難。このまま応じる可能性は低いとみられる。
7日で昨年10月の戦闘開始から7カ月となった。イスラエルは避難民が密集するラファ地上侵攻の構えを崩しておらず、限定的作戦でハマスに譲歩を迫った形だ。軍は声明で「ラファ検問所はテロ目的で利用されていた」と主張した。ただ、実務者レベルの代表団を派遣し、交渉を続ける姿勢も示した。交渉で合意を求める米国や国際社会に配慮したとみられる。
国連人道問題調整室（OCHA）の報道官は7日、軍のラファ検問所掌握で、国連によるガザへの援助が遮断されたと明らかにした。支援に必要な燃料の備蓄も不足しているという。
共同通信がハマス筋から入手した休戦案によると、第1段階で双方が軍事作戦を停止し、人質を交換する。第2段階でイスラエル軍が撤収し、ハマスが男性兵士らを解放。第3段階で国連などの監視下でガザ再建を進めるなどと定めている。
これまでイスラエル側の提案で「持続可能な平穏の回復」とあいまいに表現されていた戦闘終結について「軍事・敵対活動の恒久的な停止」と追加で記載した。第2段階に「軍のガザ完全撤収」も盛り込んだ。ハマスのハニヤ最高指導者は6日、「ボールはイスラエル側にある」と主張した。
米国は関係国と協議し、ハマスの回答を精査。イスラエル軍は6日、ラファ東部の住民約10万人に退避を要求した上で空爆を実施し、地上部隊が検問所の掌握作戦を行った。イスラエル戦時内閣は6日、ラファでの作戦を続けると決定した。
軍は7日もガザ各地への攻撃を継続した。ガザ保健当局は7日、ガザ側の死者は3万4789人となったと発表した。
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