【北京=馬場加奈】岩屋毅外相は25日、訪問先の北京で中国人向け査証(ビザ)の発給要件緩和の表明をめざす。日中間の経済交流や人的往来の拡大を狙う。王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相とも初めて会談し、共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」に基づく協力策を話し合う。
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岩屋氏は同日午後に開く日中両国の人的・文化交流の促進に向けたハイレベル対話に出席し、日本が発給するビザの要件緩和策を発表する見通しだ。同会合が開かれるのは5年ぶりだ。中国が11月に日本人向けの短期滞在ビザの免除を再開したことに対応し、相互訪問の推進につなげる。
中国からの観光客らが日本を訪れやすくなる効果を見込む。申請手続きの簡素化などを予定する。新型コロナウイルス禍前に進めていた日中間の往来促進が本格的に再開する。
岩屋氏は王氏との会談で、日本側の要求も伝える。東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を受けて禁止した日本産水産物の早期の輸入再開を求める。日中両政府は9月に段階的な再開で合意しており、再開時期が焦点になっている。
中国軍による日本領海への侵入や領空侵犯など、日本周辺での軍事活動に懸念を伝える見通しだ。中国での日本人男児の刺傷事件や反スパイ法の不透明な運用による日本人の拘束についても問題提起する。
日本の外相が訪中するのは2023年4月の林芳正外相以来1年9カ月ぶり。岩屋氏は外相会談で王氏の25年中の来日を要請する。実現すれば20年11月以来となる。
日中両政府は安全保障分野などで懸案を抱えつつも、経済協力や人的交流を中心に関係改善に動いている。25年には「日中ハイレベル経済対話」を開催する見込みだ。直接投資や貿易面などでの連携策を探る。
日本で日中韓首脳会談(サミット)の開催も25年に計画している。外相間で相互往来できる関係をつくり、李強(リー・チャン)首相の来日など首脳級の往来を実現する意図もある。
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