【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月17日の動き)
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ゼレンスキー大統領「戦闘で死亡の北朝鮮兵士の証拠隠滅」と非難
ウクライナのゼレンスキー大統領は、SNSで、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州での戦闘をめぐり、ロシアは、北朝鮮の兵士をウクライナ軍の陣地を攻撃するために投入しているだけでなく、北朝鮮の兵士たちの戦闘での損失を隠そうとしていると訴えました。
そのうえで「ロシア軍は、わが国の兵士たちとの戦闘で死亡した北朝鮮の兵士たちの顔を、文字どおり焼こうとしている」と主張して北朝鮮兵士の遺体の証拠隠滅を図っていると非難しました。
投稿では、無人機から撮影したとみられる雪の積もった森の中に身を寄せる北朝鮮の兵士だとする映像や、遺体の顔の隠滅を図る場面だとする映像も公開されています。
ゼレンスキー大統領は「北朝鮮の人々がプーチンのために戦い、命を落とす理由はひとつもない。彼らが亡くなったとしても、ロシアが彼らに与えるのは屈辱だけだ」と指摘しました。
米軍当局者 「北朝鮮の兵士の死傷者が数百人」との見方
AP通信などによりますと、アメリカ軍の当局者は17日、ロシア西部クルスク州で戦闘に参加している北朝鮮の兵士の死傷者が、数百人にのぼっているという見方を示しました。
北朝鮮の兵士をめぐってアメリカ国防総省は、これまで、1万2000人ほどがロシアに派遣され、ロシア軍の一員として主に歩兵の役割を担ってクルスク州の前線に投入されたとしています。
また16日には、カービー大統領補佐官が北朝鮮兵士の死傷者は「数十人単位」という見方を示していました。
ロシア軍幹部死亡でロシア高官 報復の可能性を示唆
ロシアで重大事件を扱う連邦捜査委員会によりますと、モスクワで17日、住宅の玄関付近に仕掛けられていた爆発物が爆発し、ロシア軍で生物・化学兵器などを担当する部隊のトップ、イーゴリ・キリロフ中将と、その補佐官が死亡しました。
キリロフ中将についてウクライナ保安庁は前日の16日、戦争犯罪の疑いがあると発表していて、ウクライナメディアなどは、ウクライナの治安当局が実行したという見方を伝えています。
ロシアの安全保障会議のメドベージェフ副議長は17日、政府高官を集めた会議で「捜査官は、ロシア国内で殺人犯を見つけ出さなければならない。そして、ウクライナにいる支援者たちの掃討に全力を尽くさなければならない」と述べました。
また、ロシア国営のタス通信によりますと、メドベージェフ氏は「ウクライナの指導者たちは、代償を支払うことになるだろう」として、報復を行う可能性を示唆しました。
ウクライナのポドリャク大統領府顧問 関与を否定
一方、ウクライナの治安当局が爆発に関与したとの見方が出ていることについて、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は17日、NHKのインタビューに対し「ウクライナは関与していない。法律の枠内で活動している」と述べ、関与を否定しました。
「トランプ次期大統領とゼレンスキー大統領 考え一致」との見方
ウクライナのポドリャク大統領府顧問は17日、首都キーウでNHKのインタビューに応じました。
この中でポドリャク顧問は、軍事侵攻を続けるロシアとの和平交渉について「ロシアは力を通じてのみ、交渉のテーブルに着かせることができる。ここが、トランプ氏とゼレンスキー大統領の見方が一致している点だ」と述べ、トランプ氏とゼレンスキー大統領は、ロシアと和平交渉を始めるには、軍事力が必要だという考えで一致しているとの見方を示しました。
そのうえで「ウクライナ支援の削減は、ロシアが国際社会であつかましく振る舞うことにつながる。ロシアが民主主義同盟を打ち破るというのはおかしな話にみえる」と述べ、アメリカによる軍事支援の継続に期待を示しました。
一方、トランプ氏が停戦に向けて中国の役割に期待を示していることについては「中国はロシアとの貿易で利益を上げるチャンスが拡大している」と述べ、現時点では、中国の働きかけは期待できないとの認識を示しました。
また、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州で、北朝鮮の兵士が戦闘に参加していることについては、ウクライナ軍の戦略的な判断には影響しないものの、ロシア軍が局地的に兵力で優位に立つとして、国際社会に対し、断固とした対応をとるよう呼びかけました。
このほかポドリャク顧問は、将来的なロシアの侵攻を抑止し、ウクライナの安全を確保する方法について、NATO=北大西洋条約機構への加盟が最も望ましいとしながらも、アメリカやイギリスとの2国間の同盟関係の構築に向けた提案があれば、ゼレンスキー大統領が前向きに検討するとの考えを示しました。
ウクライナ閣僚 復旧復興へ 日本企業のさらなる投資・進出に期待
ウクライナの復興支援を検討する会議への出席などのため日本を訪れているウクライナのスビリデンコ第1副首相兼経済相は、17日に都内でNHKのインタビューに応じました。
この中で、ロシアによる軍事侵攻が長期化するなか、日本をウクライナへの最大の支援国の1つとしたうえで、来日のねらいについて「日本のパートナーにとって最も興味深い分野を特定し、戦時中でも協力を促すために、ウクライナがどのような動機づけを準備しているか示すためだ」と述べ、復旧や復興に向けて日本企業からのさらなる投資やウクライナでの工業団地の開発などへの参入を呼びかけました。
また、日本側に求めたい支援としてエネルギーや農業分野を挙げ、「国を再建するために日本の技術とイノベーションを活用したい」と述べ、より多くの日本企業の進出に期待を示しました。
一方で、日本政府が設けているウクライナへの渡航制限について「ウクライナのビジネスがどのようなものか自分の目で確かめることが非常に重要だ」と述べ、企業の進出を促すには緩和が必要だと訴えました。
さらに、ウクライナの復興に向けた課題として、労働力の不足を挙げたうえで「500万人がウクライナの国外に住んでいる。彼らが帰国するための動機を見いだしたい」と述べ、ウクライナでのビジネスを生み出すことで、国外に避難した人たちに帰国を呼びかけたい考えを示しました。
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