第一三共は17日、主力抗がん剤の供給体制について日本と米国、ドイツ、中国の世界4カ国で設備投資し、生産能力を増強する。同日開いたR&D(研究開発)説明会で明らかにした。抗がん剤の適応症や販売地域の拡大で、ピーク時の需要見通しが当初予想の約1.5倍に上振れることに対応する。
第一三共の真鍋淳会長兼最高経営責任者(CEO)は新薬開発や供給体制の強化により「がん領域で競争優位性を持つ目標を掲げ、成長を続ける」と強調した。
各国の設備稼働時期や具体的な投資額については開示しなかったが「将来的に世界で5000万バイアル(ガラス製の容器)超の供給ができる体制を構築する」(同社)という。自社工場の生産能力増強に加え、医薬品製造受託(CMO)とも連携し供給体制を整備する。
同社は11月下旬に中国の上海市に総額約11億元(約230億円)を投じて医薬品生産棟を建設し2030年までに稼働する計画を発表している。中国をはじめとした世界4カ国の生産拠点では、主力抗がん剤「エンハーツ」を含めた、抗体薬物複合体(ADC)と呼ばれる技術を使った抗がん剤新薬を製造する。
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