シリアでは今月8日、反政府勢力が独裁的なアサド政権を崩壊に追いやったあと、反政府勢力を率いた「シリア解放機構」のもとで暫定政権が発足しました。

地元のメディアは14日、「シリア解放機構」のジャウラニ指導者が旧政権の後ろ盾となってきたロシアやイランとの関係を見直す考えを示したと伝えました。

このうちロシアについては「共通の利益に資するよう、関係を再検討する機会をロシアに与えた」と述べ、現時点では慎重な姿勢で臨む考えを強調したということです。

シリア国内のロシア軍の基地では軍事物資を撤収するような動きがみられると報じられていて、ロシア側の対応も注目されます。

一方、アメリカのブリンケン国務長官はシリア情勢をめぐってトルコなど関係国の外相らと会談したあと会見し、シリア解放機構側と直接、連絡をとっていることを明らかにしました。

アメリカなどはシリア解放機構をテロ組織に指定していて、そのシリア解放機構が主導する暫定政権にどう対応していくか注目されます。

一方、シリアでは、イスラエル軍がアサド政権が保有していた兵器がテロリストの手に渡るのを防ぐためだと主張して、空爆を繰り返しています。

シリア国内の情報を収集するシリア人権監視団は13日の夜から14日にかけて28回の空爆が行われたとしていて、ロイター通信は、13日にダマスカスから撮影したとする大規模な爆発の映像を配信しました。

“シリア駐留のロシア軍 軍事物資撤収か”ロイター通信

ロイター通信はシリア北西部にあるフメイミム空軍基地に駐留しているロシア軍が軍事物資の撤収を行っているとみられると伝えました。

人工衛星を運用するアメリカの企業「マクサー・テクノロジーズ」が13日に撮影した衛星写真をもとに伝えたもので、写真には大型輸送機アントノフ124がが貨物を積み込むために機首を上に向けて開けた状態で写っています。

近くでは攻撃ヘリコプター「カモフ52」が分解され、輸送の準備が進められているとみられるほか、最新の地対空ミサイルシステム、「S400」の一部も基地内の設置場所から移動の準備が進められているとしています。

ロシア軍などの分析をしているカーネギー国際平和財団のコフマン上級研究員はSNSへの投稿で「撤退は進行中だがこれが完全な撤退なのかどうかは、まだ分からない」と指摘しています。

ロシア政府はシリアの暫定政権を主導する「シリア解放機構」と駐留継続に向けて模索を続けていると明らかにしています。

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