日米韓3カ国の北朝鮮問題を担当する政府高官は9日、日本外務省で協議した。北朝鮮のロシアへの兵派遣などの情勢について意見を交わし「深刻な懸念」を共有した。韓国は非常戒厳の宣言で内政が混乱しているものの3カ国で引き続き連携する。
日本外務省の鯰博行アジア大洋州局長、米国務省のダニエル・クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)、韓国外務省の趙九来(チョ・グレ)外交戦略情報本部長が出席した。
日本外務省の発表によると、3者はロ朝の事実上の軍事同盟である「包括的戦略パートナーシップ条約」発効や、北朝鮮による核・ミサイル開発を含むロ朝間の軍事協力の進展について認識を擦り合わせた。
日米韓が連携を確保し続ける重要性を確認した。北朝鮮の国連安保理決議の完全な履行やミサイル開発の資金源となる不法なサイバー活動に対して、引き続き取り組むと申し合わせた。
日本側からは拉致問題について提起し、米韓両国の「一貫した支持」に謝意を示した。日米、日韓の2国間でもそれぞれ意見交換すると明らかにした。
外務省幹部は同日の協議で韓国の内政について言及はなかったと明かした。「そうした背景がある中でも朝鮮半島情勢が緊迫しないように、日米韓で連携していこうと確認した」と解説した。
日米韓の協力をめぐっては足元で懸念材料が多い。韓国は3日夜に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「非常戒厳」を一時宣言した。検察は尹氏を内乱容疑で捜査中だと発表するなど混乱が続いている。
野党が7日に提出した尹氏の弾劾訴追案は「北朝鮮と中国、ロシアを敵視し、日本中心の奇怪な外交政策を主張した」と指摘した。
尹氏はロ朝の軍事協力への対応などを念頭に日米韓の安全保障協力を強化してきた。革新系である野党は外交方針に異議を唱えている。
8日に韓悳洙(ハン・ドクス)首相は「米韓同盟、日米韓協力の維持が重要だ」と語り、協力継続の必要性を言明した。
米国は2025年1月にトランプ前大統領が再登板する。1期目のトランプ氏は多国間協力に後ろ向きだった。在韓米軍の負担をめぐり不満を漏らす場面もあった。
ロ朝をめぐっては、ロシアによるウクライナ侵略を支援するために北朝鮮が兵を派遣している。北朝鮮兵はすでに1万1000人程度が前線に投入されているとみられ、ロシア側が核・ミサイル技術を見返りとして供与している可能性も指摘されている。
北朝鮮の朝鮮中央通信は5日、ロ朝の「包括的戦略パートナーシップ条約」が発効したと報じている。一方の締約国が武力侵攻を受けた際の相互支援を規定し、事実上の軍事同盟とされる。
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