清田局長はイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が続くガザ地区にこの1年間に3回、訪れていて「ガザの人々は国外に退避することも難しい中、イスラエルからの避難勧告が出されては逃げることを繰り返している。私が滞在しているときにも何度も空爆があり、ガザに安全なところはない」と話していました。
そのうえでUNRWAの診療所がガザ地区の外来患者のおよそ半数を診ている状況を説明しました。
一方、イスラエル政府はUNRWAの一部の職員がハマスによる奇襲攻撃に関わっていたことなどを理由に「組織を解体してほかの国連機関に役割を移すべきだ」としてUNRWAの活動を禁止する法案を来年1月に施行することにしています。
これについて清田局長は「ガザ地区でUNRWAが活動できなくなることは人道支援が止まってしまうことになり代わりになる機関はない」と述べ人道危機がいっそう深まると強い懸念を示しました。
そのうえで日本を含めた国際社会に対し「法案の施行を遅らせるか、止めるように働きかけてほしい」と訴えました。
この法律をめぐってはEU=ヨーロッパ連合のボレル上級代表が今月1日、「UNRWAがなければガザの人々は食料や水、医薬品への最後のアクセスを失うことになる。この重大な時期にUNRWAを解体すれば、悲惨なことになる」とイスラエルを批判する声明を発表しています。
石破首相「UNRWAの活動は継続しなければいけない」
UNRWAの清田保健局長は28日午後、総理大臣官邸を訪れ、石破総理大臣と面会しました。
この中で清田氏はガザ地区の状況を説明したうえで「日本の人道支援は世界中で評価されており、私は日本人であることで損したことは一度もない。医療を含めた人道支援を続けてもらいたい」と要望しました。
これに対し石破総理大臣は「ガザ地区には東京大空襲の何倍もの爆弾が落とされていて心が痛む。支援は続けていかなければならない」などと応じました。
また、石破総理大臣は、イスラエルがUNRWAの国内での活動を禁止する法案を可決したことについて「イスラエルの主権の問題があるが、UNRWAの活動は継続しなければいけない。いろいろな場で日本としての考えを伝えていく」と述べたということです。
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