米国の物価上昇率は鈍化ペースが緩やかになっている(11月、米ワシントン)

【ワシントン=高見浩輔】米商務省が27日発表した10月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比で2.3%上昇した。伸び率は市場予想通りで、9月の2.1%から加速した。米連邦準備理事会(FRB)の内部からはインフレ率の鈍化に想定より時間がかかっていると懸念する声も出ている。

物価の瞬間風速を映す前月比では0.2%上昇した。予想通りで、伸びは前月と同じだった。エネルギーと食品を除くコア指数の伸びは前年同月比で2.8%となり、前月の2.7%から加速した。

2022年に一時7%を超えていた総合指数の前年同月比の伸びは、FRBの目標である2%に近づいている。ただ、内訳をみると家賃や保険料といったサービス価格の勢いはまだ強く、沈静化には時間がかかる見通しだ。

トランプ次期米大統領は25日、25年1月の就任後に中国やメキシコ、カナダからの輸入品に追加関税をかけると表明した。米ゴールドマン・サックスはすべて実現した場合はコア指数が0.9%押し上げられると試算する。

FRBは11月に0.25%の追加利下げを実施した。来年にかけても徐々に金融引き締めを緩める方針だ。物価が高止まりする懸念が一段と強まれば、利下げシナリオには不透明感が強まる。

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