GMが開発するF1車両のイメージ

【ニューヨーク=川上梓】米ゼネラル・モーターズ(GM)は25日、自動車レースのF1に参戦すると発表した。2026年から高級車ブランド「キャデラック」のF1チームとして参加する。同年からF1が導入する脱炭素を重視したパワーユニット(PU)の新規制を見据え、乗用車を含めた研究開発にも活用できると判断したとみられる。

同日、F1と暫定的な合意に達した。GMは最初の2年間はイタリアのフェラーリのPUを使用する計画。10年以内に自社開発のPU提供を目指す。

F1を巡っては、26年からホンダが再参戦するほか、米フォード・モーターも復帰する。独フォルクスワーゲン(VW)傘下のアウディも初参戦する。トヨタ自動車もF1チームへの技術協力を決めるなど自動車メーカーの動きが活発化している。

相次ぐ参戦表明、11チームに増加 

GMは23年1月にF1入札を表明していた。マーク・ロイス社長は25日、「モータースポーツの原点としてF1は限界を広げる革新性と卓越性を要求する。GMとキャデラックとして世界最高のレースシリーズに参加できることを光栄に思う」とコメントした。

F1は現在10チームだが、GMの参入で11チームに増える。11チームとなるのは16年以来。

再参戦の背景には、GMのお膝元である米国でのF1人気の高まりも背景にある。17年にメディア大手の米リバティ・メディアがF1の運営組織を買収し、全レースを生配信するオンライン基盤を築いた。19年から配信が始まった米ネットフリックスによるドキュメンタリーシリーズでも人気を集め、顧客層が広がっている。

脱炭素規制、技術開発で新たな競争に

F1を巡っては、26年シーズンを見据えて参戦の動きが相次ぐ。ホンダは21年にPU開発から撤退したが、26年に再参戦し、英アストンマーティンにPUを製造・供給する。トヨタもこのほどF1の米チーム「ハース」と提携し、技術協力すると表明した。

F1は30年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指し、26年から、PUなどに関する規定を刷新する。PUの出力に占める電動モーターの割合を従来の2割から5割に高め、再生燃料の使用割合を増やす。

自動車レースの最高峰のF1はメーカーにとっても最先端の技術革新を支える「実験場」の役割を果たしており、各社は脱炭素時代の開発競争も見据えている。

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