ロシア・ウクライナ情勢(11月21日の動き)

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プーチン大統領 “報復として中距離弾道ミサイルを発射”

ロシアのプーチン大統領は、欧米からウクライナに供与された射程の長いミサイルによる攻撃への報復としてウクライナ東部に21日、新型の中距離弾道ミサイルを発射したと明らかにし、ウクライナへの軍事支援を続ける欧米に対抗する姿勢を改めて強調しました。

ウクライナ空軍が21日、ロシア軍が東部の都市ドニプロの重要施設に行った攻撃の中で「ICBM 1発がロシア南部から発射された」と発表したことに関連し、ロシア大統領府は21日にプーチン大統領が演説する8分近い映像を公開しました。

プーチン大統領は「オレシュニク」と名付けた新開発の極超音速の中距離弾道ミサイルを実験的に発射したと明らかにし、ウクライナ側の発表を事実上否定しました。

核弾頭は搭載していないものの、秒速2.5から3キロで飛行するとして「対抗できる防空システムは存在しない」と主張しています。

発射の理由についてプーチン大統領は、欧米からウクライナに供与された射程の長いミサイルによるロシア西部への攻撃に対する報復だと主張しました。

このうちクルスク州ではロシア軍の指揮所が攻撃され、複数の死者や負傷者が出たと明らかにし「ウクライナの地域紛争が世界的な性格を帯びることになった」と述べました。

さらにプーチン大統領は、2019年にINF=中距離核ミサイルの全廃条約がアメリカからの破棄の通告により失効したことが背景にあるとして「オレシュニクの実験はNATO=北大西洋条約機構の加盟国による敵対行為への対応だ。今後の配備はアメリカや衛星国の行動次第だ」と述べました。

その上で「われわれの施設への兵器の使用を認める国の軍事施設に対して、われわれは兵器を使用する権利がある」と述べてウクライナへの軍事支援を続ける欧米への直接攻撃を辞さない構えを示し、対抗姿勢を改めて強調しました。

米国防総省「実験的な中距離弾道ミサイル」

アメリカ国防総省のシン副報道官は、21日の記者会見で「ロシアが発射したのは実験的な中距離弾道ミサイルだ」と指摘したうえで、ICBM=大陸間弾道ミサイルをもとにつくられたとしています。

シン副報道官は「戦場に投入された殺傷能力の高い新たなタイプの兵器であり、懸念している。このミサイルが戦場で使われたのを確認したのは初めてだ」と指摘しました。

また、このミサイルの発射に先だって、ロシアからアメリカに対して通告があったということです。

林官房長官 “引き続き緊張感を持って戦況を注視”

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「戦況における事象の一つ一つについて詳細を述べることは控えるが、ロシア側による一連の攻撃を改めて強く非難するとともに引き続き緊張感を持って戦況を注視したい。ロシアの侵略を止めてウクライナに一日も早く公正かつ永続的な平和を実現すべく国際社会と緊密に連携していく」と述べました。

“ウクライナ軍のロシア攻撃で北朝鮮軍の高官が負傷” 米有力紙

アメリカの有力紙は、ウクライナ軍によるロシア西部クルスク州への攻撃で、北朝鮮軍の高官が負傷したと報じました。

ロシアによるウクライナ侵攻で、北朝鮮軍の高官の負傷が確認されたのは初めてだとしています。

アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は21日、西側の当局者の話として、ウクライナ軍によるロシア西部クルスク州への攻撃で北朝鮮軍の高官が負傷したと伝えました。

ロシアによるウクライナ侵攻をめぐって、西側の当局者が北朝鮮軍の高官の負傷を明らかにしたのは初めてだとしています。

アメリカ政府は、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるクルスク州には、ロシアに派遣された北朝鮮の兵士が展開し、ロシア軍とともに戦闘に参加していると指摘しています。

欧米のメディアは、ウクライナ軍がアメリカなどから供与された射程の長いミサイルを使ってロシア領への攻撃を始め、クルスク州にも20日、イギリスから供与された「ストームシャドー」が発射されたと伝えています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日に行った演説で、ロシア西部に配置されている北朝鮮の兵士について「10万人に増える可能性がある」と述べて危機感を示していて、クルスク州での戦闘が激しさを増しています。

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