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ウクライナ北東部でロシア軍がミサイル攻撃 10人死亡
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”ウクライナにロシア領内への長距離ミサイル使用許可”米報道
ロシア ウクライナに軍事侵攻(11月17日の動き)
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ウクライナ北東部でロシア軍がミサイル攻撃 10人死亡
ウクライナの当局は北東部のスムイで、17日夜ロシア軍のミサイルが住宅街の建物を直撃し、これまでに9歳と14歳の子ども2人を含む10人が死亡し、52人がけがをしたと発表しました。
400人以上の住民が避難を余儀なくされたということで、地元当局は「日曜日の夜が地獄になった」とロシアを非難しました。
地元当局によりますと、ロシア軍はその数時間後に再びスムイに対しミサイル攻撃を行い、市内では停電が発生したということです。
ゼレンスキー大統領は17日夜のビデオ演説で「もう1000日近く、ロシアは同じことをしている。モスクワの誰かと話すためではなく、ロシアに本当に戦争を終わらせるために時間を費やすべきだ」と訴えました。
”ウクライナにロシア領内への長距離ミサイル使用許可”米報道
アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアは17日、政府関係者の話としてバイデン大統領が、ウクライナに対し、すでに供与した長距離ミサイルをロシア領内への攻撃のために使用することを許可したと伝えました。
使用を許可したのは精密攻撃が可能とされる射程の長いミサイル、ATACMS(エイタクムス)だとしています。
ウクライナ政府はロシア領内への攻撃に射程の長い兵器を使うことを許可するよう、繰り返し求めてきましたが、バイデン政権は、緊張が過度に高まることを懸念して、認めていませんでした。
ATACMSの使用の許可は、ロシアが北朝鮮の兵力を戦闘に投入する決断をしたことに対応するためで、ロシア西部のクルスク州で越境攻撃を続けているウクライナ軍を防衛するため、ロシアと北朝鮮の部隊に対して使用される見通しだとしています。
ニューヨーク・タイムズは、これはアメリカの政策の転換を意味するとし、ウクライナへの追加支援の制限を主張してきたトランプ次期大統領の就任を2か月後に控えた時点での決断をめぐっては、バイデン大統領のアドバイザーのあいだでも意見が割れたと伝えています。
ウクライナが使用を求める背景は
アメリカのバイデン政権は、自国が供与した兵器についてウクライナ国内での使用に限定してきました。
方針が変わったのはことし5月です。
ロシア軍が東部ハルキウ州の北部で国境を越えて州内に侵入し、国境周辺の複数の集落を掌握したことを受けて、ウクライナに対し、ロシア領内の一部の地域への攻撃を許可しました。
ただ、その後も国境から離れたロシア領内を攻撃することは、認めてきませんでした。
一方、ロシア側はロシア領内からウクライナの東部や北部の市街地に滑空爆弾などによる攻撃を繰り返し行っているほか、北朝鮮から供給されたミサイルでも攻撃を行い、ウクライナ側には市民の犠牲が相次いでいます。
このためゼレンスキー政権は空からの攻撃を防ぐためとして、ロシア領内の基地や弾薬庫などを攻撃できるよう、射程の長い兵器についても使用制限の撤廃を強く求めてきました。
制限の撤廃を求めてきたとみられるのが、アメリカから供与された最大射程がおよそ300キロとされるミサイル、ATACMSや、イギリスとフランスから供与された射程が250キロ以上の巡航ミサイル「ストームシャドー」と「SCALP」(スカルプ)です。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」はことし8月下旬の時点で、ロシア領内の16の空軍基地を含む少なくとも245の軍事施設などの標的がATACMSの射程内にあるという分析を示しています。
“使用許可” ゼレンスキー大統領は否定も肯定もせず
ウクライナのゼレンスキー大統領は17日のビデオ演説で、アメリカがロシア領内への攻撃で供与した長距離ミサイルを使うことを許可したと伝えられていることに触れ「攻撃はことばで行われるものではない。そういったことは発表されない。ミサイルがみずから語る」と述べました。
ゼレンスキー大統領は否定も肯定もしなかったものの、許可が出たかどうかは実際のミサイル攻撃という形で明らかになると示唆しました。
林官房長官「戦況や情勢への影響含め 動向を注視」
林官房長官は18日午前の記者会見で「コメントは控えるが、政府としてウクライナでの戦況や情勢への影響を含め、関連の動向を注視したい」と述べました。
一方で、「北朝鮮によるロシアへの兵士の派遣を含む、最近のロシアと北朝鮮の軍事協力の進展の動きを強く非難する。こうした動きはウクライナ情勢のさらなる悪化を招くのみならず、わが国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点からも、深刻に憂慮すべきものだ」と述べました。
ロシア軍 ウクライナのエネルギー施設を攻撃 全土で計画停電へ
ウクライナではロシア軍が各地のエネルギー施設を標的に、この3か月で最大規模とされるミサイルと無人機による攻撃を行ったことを受けて、18日に全土で計画停電が実施されることになり、本格的な冬を前に影響が広がっています。
ウクライナ軍は17日、ロシア軍が極超音速ミサイルだとする「キンジャール」や巡航ミサイルなどあわせて120発のミサイルと90機の無人機で攻撃を仕掛け、このうち102発のミサイルと42機の無人機を撃墜したと発表しました。
標的はウクライナ全土のエネルギー施設だとしていて、首都キーウの当局は、これだけ強力な攻撃が行われたのはおよそ3か月ぶりだとしています。
地元の当局などによりますと、これまでに南部のオデーサ州やミコライウ州、西部のリビウ州であわせて5人が死亡し、東部ドニプロペトロウシク州では鉄道の施設が被害を受け、鉄道会社の職員2人が死亡しました。
このうちオデーサ州ではインフラ施設に被害が出て、停電や断水となり、暖房の供給も止まりました。
また、リビウ州でも地域の暖房システムが被害を受けたことで、6000人が一時的に暖房の供給のない状態に陥ったということです。
国営の電力会社「ウクルエネルゴ」は、攻撃でエネルギー施設が被害を受けたとして、ウクライナ全土で18日の午前6時から午後10時の間に計画停電を実施すると発表し、本格的な冬を前に影響が広がっています。
ウクライナではロシア軍の攻撃でことし3月から8月にかけて発電所などが深刻な被害を受けていて、日本政府は16日にオデーサとハルキウにエネルギー支援として新たな発電機などの供与を発表したばかりでした。
ウクライナ情勢 ロシアによる軍事侵攻 最新情報・解説 - NHK特設サイト
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