【バクー=共同】世界気象機関(WMO)は11日、2024年1〜9月の世界平均気温を巡り、産業革命前と同程度の1850〜1900年の推定平均気温と比べて上昇幅が1.54度を超え、今年の平均気温は観測史上最も高くなる見込みだとの分析を発表した。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が目指す上昇幅を「1.5度」に収める目標達成が危機的状況にあることが浮き彫りになった。

WMOはアゼルバイジャン首都バクーでの国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)開幕に合わせて報告書を公開。15〜24年の10年間は観測史上最も高い気温を記録する見通しで、南米ペルー沖の海面水温が上がるエルニーニョ現象が要因としている。

WMOのサウロ事務局長は「今年、世界各地で起きた記録的な大雨や洪水、猛暑や干ばつ、山火事は新たな現実だ」と指摘。温暖化ガス排出削減への対策強化が急務だと訴えた。

報告書によると、温暖化ガスは23年に史上最高レベルに達し、24年も上昇が継続。氷河の氷が減少し、溶けた水の海への流入で海水面の上昇も加速しており、異常気象が世界中に大きな被害をもたらしている。

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