トランプ氏 「すべての激戦州で勝利」 選挙結果をアピール
アメリカ大統領選挙で当選を確実にした共和党のトランプ氏は「すべての激戦州で勝利した」として選挙結果をアピールしました。
アメリカ大統領選挙は開票作業が続いていた激戦州のひとつ、西部アリゾナ州で共和党のトランプ氏が9日、勝利を確実にし、トランプ氏は選挙結果を左右すると言われた7つの激戦州すべてで勝利しました。
トランプ氏は10日、SNSの「トゥルース・ソーシャル」に「すべての激戦州と総得票数で勝利した。312人の選挙人を獲得した」などと投稿し、民主党のハリス氏に大差をつけたとアピールしました。
国境管理の責任者にトム・ホーマン氏起用を発表
さらにトランプ氏はSNSで国境管理の責任者として、みずからの1期目で移民関税執行局の局長代行を務め、不法移民への強硬姿勢で知られるトム・ホーマン氏を起用すると発表しました。
トランプ氏は「国境を取り締まり、管理することにかけてトムの右に出る者はいない。彼は不法移民たちを出身国に強制送還する責任者となる」と説明しています。
トランプ氏はこれまで、政権の要となる大統領首席補佐官に、選挙対策本部長を務めたスーザン・ワイルズ氏の起用を発表するなど、次期政権の人事の動きも関心を集めています。
一方、ホワイトハウスはバイデン大統領が13日にトランプ氏を大統領執務室に招くと明らかにしていて、政権の移行に向け協議をするものとみられています。
“トランプ氏がプーチン大統領と電話で会談” 米有力紙が伝える
アメリカの有力紙ワシントン・ポストは、大統領選挙で勝利したトランプ氏がロシアのプーチン大統領と電話で会談していたと伝えました。
会談でトランプ氏はウクライナで続く戦闘を拡大させないよう、プーチン大統領に呼びかけたとしています。
ワシントン・ポストは10日、複数の関係者の話として、アメリカ大統領選挙で勝利したトランプ氏が、投票日の2日後の11月7日、ロシアのプーチン大統領と電話で会談していたと伝えました。
この中でトランプ氏は、プーチン大統領にウクライナで続く戦闘を拡大させないよう呼びかけたとしています。
また2人は、ヨーロッパ大陸の平和という目標について意見を交わし、トランプ氏は「ウクライナでの戦争の早期解決」をめぐり、さらなる協議を行いたい考えを示したということです。
一方で、トランプ氏は会談の中で、ロシアが占領するウクライナの領土の問題についても取り上げたとしています。
トランプ氏は選挙戦のなかで、ロシアによるウクライナへの侵攻を即座に終わらせると訴えてきましたが、その方法については具体的には明らかにしておらず、トランプ氏の言動に関心が集まっています。
ロシア報道官 “電話会談”を強く否定
アメリカの有力紙ワシントン・ポストが、大統領選挙で勝利したトランプ氏がロシアのプーチン大統領と電話で会談していたと伝えたことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は11日、記者団の取材に対し「完全に事実無根だ。これはまったくの作り話だ。つまり、虚偽の情報だ」と述べ、2人が電話で会談したことを強く否定しました。
その上で、記者団が「先週、プーチン大統領はトランプ氏と話したのか」とさらに問いただしたのに対し、ペスコフ氏は「会話はまったくなかった」と述べて重ねて否定しました。
また、今後の電話会談の予定はあるかと質問されたのに対し、ペスコフ氏は「まだ具体的な計画は何もない」と述べました。
イスラエル首相 “トランプ氏と数日間で3回会話”
イスラエルのネタニヤフ首相は10日の演説の中で、アメリカの大統領選挙に勝利したトランプ氏とここ数日間で3回、会話をしたと明らかにしました。
会話の内容についてネタニヤフ首相は「イスラエルとアメリカの関係をさらに強化するためのとてもよいものだった。あらゆる面でのイランの脅威とそれがもたらす危険について意見が一致している」としています。
米ハガティ前駐日大使“国内問題優先”ウクライナ支援継続否定的
アメリカのトランプ次期政権で国務長官など閣僚ポストへの起用が取り沙汰されているハガティ前駐日大使は、アメリカ国内の問題を優先すべきだとして、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナへの支援の継続に否定的な立場を示しました。
1期目のトランプ政権のもとで、駐日大使を務めたハガティ上院議員は10日、アメリカのCBSテレビのインタビューに応じました。
この中でロシアからの軍事侵攻を受けるウクライナへの軍事支援について「相当な金額が使われている。アメリカ国民は国境が崩壊していることなど、国内の問題に焦点をあてることを求めている」と述べ、支援の継続に否定的な立場を示しました。
その上で、ハガティ氏はウクライナで多くの犠牲者が出ていることに触れ、トランプ氏が今後、停戦に向けた働きかけを行うという見通しを示しました。
トランプ氏はウクライナへの軍事支援に消極的な姿勢を示していて、次期政権で支援がどこまで継続されるかが焦点となっています。
一方、同盟国との関係についてハガティ氏は「各国がそれぞれ防衛力の強化を図るべきだ」と強調し、防衛費を増額し防衛力を強化する日本の取り組みについては「前向きな動きだ」と評価しました。
ハガティ氏について、アメリカメディアは2期目のトランプ政権で国務長官などの閣僚ポストに起用される可能性があると伝えています。
米大統領補佐官 “ウクライナへの支援を継続するべき”
バイデン政権で安全保障を担当するサリバン大統領補佐官は、アメリカはウクライナへの支援を継続するべきだと訴えました。
サリバン氏は10日、CBSテレビのインタビューでウクライナ情勢への対応を問われると「われわれのこの問題へのアプローチは過去2年半と変わらず、戦闘地域においてウクライナをできるかぎり、強い立場に置くことにある。そのことが交渉のテーブルにおいてもウクライナを強い立場にする。領土主権にまつわる問題についていつ、どのように交渉のテーブルにつくかはウクライナ自身が決めるべきことだ」と述べました。
そのうえで「アメリカはウクライナから手を引くべきではない。もし手を引けばヨーロッパは一段と不安定化し、究極的には、以前、日本の総理大臣が述べたように、アジアの同盟国に対するアメリカの関与への疑問が増すことになる」と指摘し、バイデン大統領はこうした点を残された70日間の任期でトランプ次期政権や議会に対して主張していくことになるという考えを示しました。
COP29開幕 主要議題で一致した対応を示せるかが焦点
COP29は日本時間の11日午後4時すぎ、各国の代表が参加してアゼルバイジャンの首都バクーで始まりました。
会議の冒頭、議長を務めるアゼルバイジャンのババエフ環境天然資源相は、「気候変動はすでに始まっている」としたうえで、「COP29はすべての人たちにとって新たな道を切り開く瞬間にならなければいけない」と述べ、団結して野心的な合意を達成することが必要だと訴えました。
今回の会議では、先進国が途上国の温暖化対策を支援するための資金について、2025年以降の、目標とする金額や、負担のあり方などをめぐる議論の行方が大きな焦点です。
ただ、温室効果ガスの排出が世界で2番目に多いアメリカの大統領選挙で、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱する方針を示してきたトランプ氏が勝利したことで、今後の協力に不透明感も出ています。
会議に出席しているインド洋の島国、コモロの代表団の男性は「忘れてはならないのは、アメリカは温室効果ガスの排出大国だということだ。アメリカなしでは大変なことになる」と話していたほか、フィンランドの代表団の男性は「とても心配だ。アメリカの拠出分の代わりとなる資金が見つかるのかは分からないが準備を進める必要がある。先進国以外も資金を出す努力が必要だ」として、新興国なども資金を拠出すべきだ訴えました。
会議は11月22日まで開かれる予定です。
トランプ氏と気候変動めぐる外交方針
気候変動対策に消極的だと指摘されるトランプ氏。
前回の政権時には、気候変動をめぐるアメリカの外交方針にも大きな影響を与えました。
2017年1月に大統領に就任すると、6月にはパリ協定からの離脱を表明し、その後正式に離脱しました。
二酸化炭素など温室効果ガスの世界第2位の排出国であるアメリカのパリ協定からの離脱は、先進国と途上国が協力して排出削減を目指すという協定の実効性を大きく損いかねないとして、国際社会に衝撃を与えました。
さらには、途上国の気候変動対策を進めるため、先進国が中心となって国際的な基金への拠出を行っていますが、トランプ氏は前回の政権時に、この基金への拠出を止めました。
こうした気候変動対策に消極的な動きは2021年に民主党・バイデン政権が誕生し、パリ協定への復帰と、基金への拠出が再開されるまで継続されました。
トランプ氏は今回の大統領選挙でも、雇用を生み出すためなどとして、アメリカの石油・天然ガス産業を重視し、「掘って、掘って、掘りまくれ」などと発言して、気候変動対策は後回しという姿勢を打ち出していました。
アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは8日、トランプ氏の政権移行チームがパリ協定からの再離脱を準備していると報じ、大統領に就任後、再びパリ協定を離脱することや、資金の拠出を停止することは避けられないという見方が強まっています。
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