イランによるトランプ氏の暗殺計画が明らかになった=AP

【ワシントン=芦塚智子】米司法省は8日、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」の指示を受けてトランプ前米大統領などの暗殺を企てたとして、イラン在住のアフガニスタン人ファルハド・シャケリ被告ら3人を起訴したと発表した。トランプ氏は5日の米大統領選で当選が確実になっている。

起訴状によると、シャケリ被告は9月中旬から下旬にかけて革命防衛隊当局者からトランプ氏の動静監視と暗殺を指示された。10月7日頃、7日以内に暗殺計画を策定するよう要求されたが、提出しなかったという。

当局者は、期限内に計画を提出できない場合は暗殺を大統領選後に延期すると伝えた。トランプ氏が敗北すると予想し、選挙後の方が暗殺が容易になるとの見方を示していたという。

シャケリ被告は米国に住んでいたが、強盗の罪で服役し2008年ごろに国外退去処分となった。現在はテヘラン在住で、服役中に知り合った米国人らと暗殺計画に関わった。トランプ氏の暗殺計画は連邦捜査局(FBI)捜査員が電話で実施したシャケリ被告の聴取で明らかになった。

同時に起訴された米国人2人は7日にニューヨークで逮捕された。イラン政府に批判的なイラン系米国人らの暗殺も試みていたという。

司法省は、イラン政府が同政府に批判的な声を抑圧し、トランプ前政権が20年にイラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を暗殺したことに報復するため、全世界で米国や同盟国の市民の誘拐や殺害を企てていると指摘した。

大統領選中の9月、トランプ陣営は国家情報長官室がトランプ氏にイランによる暗殺計画があると説明したと発表していた。

また司法省は9月、トランプ陣営にサイバー攻撃をしかけて情報を盗み取ったとして、イラン国籍の3人を起訴していた。情報を民主党側やメディアに漏洩し、トランプ氏が大統領選で不利になるよう狙ったとしていた。

  • 【関連記事】米国務長官、イランの暗殺計画「トランプ氏や高官対象」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。