NYタイムズでは大統領選直前にストが起きた=ロイター

【ニューヨーク=西邨紘子】米有力紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)でIT(情報技術)系の従業員がストライキに入ったことが、同社の選挙報道に影を落としている。5日、独自に開発した選挙結果の予想機能がリアルタイムで一時使えなくなり、電子版の報道に支障が出た。

NYTでは、IT系社員約600人が加盟する労組「タイムズ・テック・ギルド」が4日、昇給や完全リモート勤務の受け入れなど待遇改善を求めストに突入した。

デジタル報道を支えてきたIT系社員が職場を離れたため、2016年に導入し改良を加えてきた電子版の目玉機能「ニードル」が一時使えなくなった。スト中のエンジニアがコンピューターシステムの運用を担っていたためだ。

この機能を使えば、開票結果のデータや投票所の位置、得票数予想、投票者の情報など様々なデータを総合し、ゲージグラフの形でわかりやすく予想を表示することができる。

NYTは東部時間の5日夜、ニードルの機能が復旧したと発表した。5日午後8時(米東部時間)時点でストが継続しているかどうかは明らかにしていない。

今後もニードルが使えない事態が起きれば、開票の進行にあわせて予想を更新していく報道が難しくなる懸念がある。NYTはニードルを使ったライブ配信ができない場合、記者がブログを通して適宜、予想を伝えていくと説明している。

【関連記事】

  • ・NYタイムズ、IT系600人がスト 大統領選前に異例の事態
  • ・旗降ろしたワシントン・ポスト 解約25万人、報道岐路に

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。