5日の米株市場で主要株価指数は軒並み上昇(ニューヨーク証券取引所)=AP

【ニューヨーク=斉藤雄太】米大統領選当日を迎えた5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は上昇し、終値は前日比427ドル(1%)高の4万2221ドル(速報値)だった。午前に発表された米サービス業の景況感指数が市場予想を上回り、選挙後も堅調な米景気や企業業績が続くとの期待から投資家の買いが先行した。

多くの機関投資家が運用の物差しとするS&P500種株価指数とハイテク株中心のナスダック総合株価指数も上昇率が1%を超えた。個別株では景気動向に敏感な金融株の上昇が目立ち、ゴールドマン・サックスやアメリカン・エキスプレスが一時2%強上がった。半導体大手エヌビディアは一時3%高になった。

5日の米大統領選・連邦議会選は全米各地で同日夜まで投票が続き、米市場が開票結果を織り込み始めるのは6日以降だ。このため5日の朝方は投資家の様子見ムードが強かった。

株買いに弾みをつけたのは米サプライマネジメント協会(ISM)が午前に発表した10月の米非製造業(サービス業)景況感指数だった。2年3カ月ぶりの高水準を記録し、市場予想も上回った。

市場関係者が注目したのはISMの構成項目のうち、企業の雇用環境を表す指数が上向いた点だ。1日発表の10月の米雇用統計で就業者数の伸びは低調だったが「ボーイングのストライキや米南部のハリケーンなどの特殊要因だったという証拠が示された」(米証券ジェフリーズのトーマス・サイモンズ氏)との受け止めが広がった。

米調査会社CFRAのサム・ストーバル氏によると、1984年以降の選挙当日にS&P500は73%の確率で上昇した。選挙後は先行き不透明感の解消で年末にかけて株価が上昇しやすいという経験則を踏まえ、これを先取りする形で株買いが進んだ。「ここ1カ月ほど大統領選の接戦で抑圧されていた投資家に安堵感が広がりつつある」(同氏)

米景気や雇用の粘り強さを示す指標を受け、米債券市場では米連邦準備理事会(FRB)が利下げを急がないとの見方から金利に上昇(債券価格は下落)圧力がかかった。米長期金利の指標になる10年物国債利回りは一時4.36%台まで上昇した。その後は4.3%を割り込み、選挙結果が出る前に不安定な動きをみせている。

ニューヨーク外国為替市場では対ドルの円相場が上昇し、一時1ドル=151円30銭台と約2週間ぶりの円高・ドル安水準を付けた。米金利上昇はドル買い要因になる一方、ドル相場は大統領選の勝者と関税などの経済政策の影響も大きいため、選挙を通過するまで明確な方向感は出にくい状況だ。

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