石油メジャーの純利益はウクライナ紛争の開始時期から大幅に減っている=ロイター

【ヒューストン=花房良祐、ロンドン=湯前宗太郎】欧米の石油メジャー5社の2024年7〜9月の純利益は前年同期比約37%減の計約217億ドル(約3兆3000億円)だった。減益は6四半期連続。中国の景気減速で原油価格が低迷したほか石油製品の需要減退で製油所の利幅が悪化した。

ウクライナ紛争で過去最高益だった22年4〜6月に比べると純利益は6割減り、ロシアの侵略開始前の水準に戻りつつある。

米原油指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は24年7〜9月、1バレル約75ドルで、前年同期(約83ドル)より低かったことが響いた。7〜9月は中東パレスチナでガザ紛争が続き、地政学リスクは依然とした高かったものの、中国経済の減速などで石油需要が盛り上がらなかった。

米エクソンモービルが1日公表した7〜9月の純利益は前年同期比5%減の86億1000万ドルだった。石油生産が過去最高の日量約320万バレルとなり、減益率が5社のなかで最も小さかった。

南米ガイアナの海底油田と米南部のシェールオイルを増産したほか、米シェール開発会社の買収を5月に完了したことも生産を押し上げた。

シェブロンの7〜9月の純利益は31%減の44億8700万ドルだった。収益力を高めるためにカナダやアラスカ、アフリカのコンゴの資産を年内に売却する。

26年までに20億〜30億ドルのコスト削減を進める一方、米南部のシェール開発などに注力する方針だ。マイケル・ワース最高経営責任者(CEO)は1日、「生産を増やしながらコストを下げていく」と話した。

欧州メジャーも軒並み減益となった。英シェルの7〜9月の純利益は、前年同期比39%減の42億9100万ドル、仏トタルエナジーズは66%減の22億9400万ドル、英BPは96%減の2億600万ドルだった。

先行きも楽観視できない。BPのマレー・オーチンクロスCEOは、「厳しい四半期だったが、10〜12月も同様の状況が続いている」と述べた。

石油輸出国機構(OPEC)は自主減産を緩和する意向と報じられており、原油相場は軟調な展開が続いている。世界最大の原油輸入国・中国の経済の弱さが目立っていることも需給を緩くしている。

各社の利益が低下するなか、今後の焦点は自社株買いや配当政策の行方だ。7〜9月の株主還元はエクソンが約98億ドル、シェブロンが約77億ドルと高水準を維持し、投資家のつなぎ留めに躍起になっている。

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