【エルサレム=共同】イスラエルのネタニヤフ首相は30日、パレスチナ自治区ガザで続く戦闘の休止合意の有無にかかわらず、ガザ最南部ラファに侵攻しイスラム組織ハマスを壊滅すると述べた。「全ての目標を達成する前に戦闘をやめるのは論外だ」と訴えた。恒久停戦を求めるハマスの反発は必至で、戦闘休止を巡る間接交渉での歩み寄りは難しくなりそうだ。
ハマスが拘束する人質の家族らとエルサレムの首相公邸で面会して語った。イスラエルのカッツ外相は27日、交渉が「合意に至ればラファ侵攻計画を停止するだろう」と述べていた。交渉でイスラエルは人質解放後に恒久停戦を議論する用意があるとの譲歩案を示したとされ、合意への期待感が高まっていた。
ブリンケン米国務長官は29日、訪問先のサウジアラビアで交渉に関し、ハマスは「極めて寛大な提案を受け取った」と述べ、早期に合意を決断するよう圧力をかけた。
交渉を仲介するエジプトのメディアによると、イスラエル側の提案を受け、29日にカイロ入りしたハマスの代表団は同日中にカイロを離れた。書面での返答を携えて再び戻って来る意向を示したという。ロイター通信は29日、返答は2日以内だとするエジプト治安筋の見方を伝えた。
イスラエルメディアは30日、ハマスから返答があるまで同国代表団はカイロに向かわないと報じた。イスラエル軍はラファ侵攻をにらみ戦車をガザ境界に展開。ラファへの空爆も強化し、硬軟両面でハマスに揺さぶりをかけている。
イスラエルメディアによるとブリンケン氏は30日夜にイスラエル入りし、同国側と対応を協議。バイデン米大統領は29日、エジプトのシシ大統領、カタールのタミム首長と相次ぎ電話会談した。
イスラエル軍は29日、ラファなどを空爆し、ロイターによると少なくとも40人が死亡した。ガザ保健当局は30日、昨年10月の戦闘開始以降のガザ側死者が3万4535人になったと発表した。
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