【ニューヨーク=斉藤雄太】米消費者金融保護局(CFPB)は23日、米金融大手ゴールドマン・サックスと米アップルが提携するクレジットカード事業で不備があったとして、両社に計8980万ドル(137億円)以上の制裁金を科したと発表した。ゴールドマンには法令順守の計画がなければ新たなカード発行を禁じる措置も講じた。
アップルは2019年にiPhoneを使った消費者向けのクレジットカード「アップルカード」の提供を始めた。ゴールドマンと組み、同社が与信の提供や口座管理といった金融面の実務を担っている。
CFPBによると、アップルは同カードの取引に関する利用者からの数万件の異議申し立てをゴールドマンに送付することを怠った。ゴールドマンは、アップルから送られてきた異議申し立ての調査で連邦政府の求める多くの要件に従わなかった。
カード事業の準備が不十分と認識しながら拙速な立ち上げに動いたことで問題が大きくなり、顧客への資金の払い戻しの遅れや信用情報への悪影響といった不利益をもたらしたと指摘した。またカードを使ったアップル製品の購入プランをめぐっても、多くの顧客に「利払い負担なし」との誤解を与えていたと糾弾した。
ゴールドマンには少なくとも1980万ドルの補償金と4500万ドルの制裁金の支払いを科した。アップルには2500万ドルの制裁金の支払いを求めた。ゴールドマンは声明で「サービス開始後に生じた技術面や運営上の課題に真摯に取り組み、すでに影響を受けた顧客には対応した」と説明した。
ゴールドマンは収益源の多様化をめざし一般消費者向けの金融サービス事業に乗り出したが、黒字化に苦戦してすでに同事業を大幅に縮小する方向にかじを切った。アップルとのカード事業の提携も解消に向けて協議しており、アップルは受け皿として米銀最大手JPモルガン・チェースと交渉していることが明らかになっている。
【関連記事】
- ・Appleのカード事業、JPモルガンが提携先に名乗り
- ・未公開資産に投資しやすく ゴールドマンが個人向け投信
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。