【NQNニューヨーク=戸部実華】17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。前日比161ドル35セント(0.37%)高の4万3239ドル05セントで終え、連日で最高値を更新した。朝発表の9月の米小売売上高が市場予想以上に増え、景気への楽観的な見方が改めて広がった。半導体株の一角が買われたことも投資家心理を支えた。一方、米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識されたことは相場の重荷となった。
9月の小売売上高は前月比0.4%増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.3%増)を上回った。米経済の大半を占める個人消費の伸びを受け「景気はかなり良好だ」(コメリカ・バンクのビル・アダムス氏)と受け止められた。週間の新規失業保険申請件数は24万1000件と前の週から1万9000件減り、市場予想(26万件)も下回った。底堅い労働市場は今後の消費も支えるとの見方も誘い、消費関連株や景気敏感株の一角が買われた。
半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)が17日に発表した2024年7〜9月期の決算は人工知能(AI)向け需要の強さを背景に、市場予想を上回る実績と見通しを示した。オランダの半導体製造装置ASMLホールディングが今週発表した低調な決算をきっかけに広がった半導体株の先行き不安が後退したことも、投資家心理の改善につながった。半導体株の一角が買われ、ダウ平均の構成銘柄ではないがエヌビディアは株式分割後ベースの高値を付けた。
相場の上値は重かった。ダウ平均や多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は最高値圏で推移するなか、高値警戒感から一部の主力株には利益確定売りも出やすかった。発表が本格化する企業決算を見極めたい投資家も多かった。
米長期金利が一時前日比0.09%高い(債券価格は安い)4.10%を付けたことも、株式相場の重荷となった。「金利上昇は米景気の底堅さを背景としているものの、米利下げペースが想定よりも緩やかになる可能性も映している」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との声も聞かれた。今後の経済指標の発表や米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和のペースを確認したい雰囲気もあった。
個別銘柄ではトラベラーズが9%高となり、ダウ平均を押し上げた。17日に発表した24年7〜9月期決算が市場予想を上回った。シェブロンやアメリカン・エキスプレスや、インテルも買われた。半面、コカ・コーラやユナイテッドヘルス・グループ、ホーム・デポは下げた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は小幅に続伸した。前日比6.530ポイント(0.03%)高の1万8373.609で終えた。エヌビディアのほか、ブロードコムやマイクロン・テクノロジーといった半導体株が高い。一方、17日夕に決算発表を控えていたネットフリックスは売られた。アルファベットも安い。
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